カフェに隣接したショップには、手紡ぎ手引きの糸による織物が並んでいます。しゃりしゃりした風合いの布、くったりと柔らかな風合いの布。淡い光を放つ布、光を吸い込む布。思わず手を伸ばさずにはいられない、さまざまな色と感触。
草木染めの色の中には、インドでしか出せない色や、沖縄・西表島でしか出せない色があるのだそうです。この日私がショップで買いもとめた美しい竹色に染められたしゃりっとした手触りのストールも、西表島のフクギや藍を用いたもの。
南インドで幼年時代を過ごし、西表島で廃車寸前のレンタカーを牧場の柵につっこんで完全廃車にしたことのある私にとっては、竹林Shop&Cafeは浅からぬ因縁を感じる場所となりました。
真冬の竹林の凛々しい風情とぴりっと冴えた空気にも格別な味わいがありますが、暖かな季節になれば、休日には真木さんの作品を愛する人々が遠方からも訪れて、今はすっかり葉を落としている中庭のスモモやケヤキの木陰で人々が憩う風景が見られるのだそうです。
たくさんの人々がこの場所で自分なりの小さな物語を紡ぎ、それが何千本もの細い縦糸、横糸になって、目に見えない巨大な布を織りあげているようです。とぎれることなく織り込まれているのは、自然の恵み、四季の香り。
私も春になったら買いもとめた竹色の長いストールを巻いて、再びこの場所を訪れるつもりです。ショップの鏡の前で真木さんがストールの巻き方を何種類も教えてくれたので、自分にしっくりなじむ巻き方を探してから。