隔月イベント「りつ・つくる」
カフェ・ヒナタ屋では、出版関係のお客さまたちを介して自然発生的に人の輪がひろがり、いくつもの魅力的な企画がおこなわれています。
2ヶ月に1度、「りつ・つくる」と題してカフェ・ヒナタ屋の小さなキッチンに立つのは田川律氏。
『りつ・つくる あるく うたう』(ビレッジプレス)、『地球のにぎわい料理ブック』(ちくま書房)などの著書もある田川氏は、1969年に伝説のロック雑誌『ニューミュージック・マガジン』創刊に参加し、以後舞台監督、音楽評論家、劇団黒テント終身賄い人として活躍。各地を旅して市場で食材を買いもとめ、現地で料理作りを楽しんできた経験から、“こだわりの男の料理”ではなく、気取らずにみんなで楽しむ“多人数料理”をふるまって好評を博しています。
田川氏はヒナタ屋を切り盛りする二人ののどかで気負わない風情を「たぶん、見るに見かねて(笑)」(鈴木さん)、隔月でご自分の幅広いレパートリーを披露してくださるよう。
ある月のメニューは「酸辛水餃子と高菜ごはんの巻」、またある月は「アホスープと柿サラダの巻」。想像力が刺激されますね。
初めて私がヒナタ屋を訪れたのは、偶然にもこの「りつ・つくる」の日。 壁の貼り紙には、田川氏のお料理は17:30頃からと書かれていて、スタートにはまだずいぶん時間があったのですが、客席にはチャーミングなファッションのおじいさんがひとりで寛いでいました。 水色のボーダーシャツに赤い花柄の細身のパンツ、短いタブリエ。人目をひくアイテムが全部自然になじんでいて、ただものではない雰囲気。それが田川氏だったのです。 |
キッチンの中で仕込み中の鈴木さんたちに、ときおり田川氏が穏やかな調子で声をかけておしゃべりし、時には鍋の前に立ってアドバイスをする。その様子はなんとも楽しげなものでした。