LUVCAのお料理の魅力は、「この味を楽しんでほしい」という姿勢がくっきりと伝わってくること。ときどき、このお店はお客さまに何を提供したいのだろう?と首をかしげてしまうカフェに出会うことがありますが、LUVCAでは一皿一皿に作り手がこの料理を選んだ意志のようなものが感じられます。
「攻撃的な味が、LUVCAの特徴だと思っています」
と並木さん。風味の焦点が定まっていて塩気もしっかり効いた、お酒にも合う味わいです。
LUVCAではお料理ごとに理想の味のターゲットが決まっているそうで、たとえば上の一皿「ロヒケイット」(1000円)は並木さんと、LUVCAの店長をつとめる奥さまの並木香さんが共に旅したフィンランドで最もおいしかったスープを再現しようと試行錯誤を重ねたもの。
ロヒケイットはシンプルながら奥深い味わいのサーモンのクリームスープ。フィンランドの伝統料理です。LUVCAでは軽く焼いたサーモンを野菜ブイヨンの風味とミルキーな舌触りで包み込み、ディルの香りをアクセントに仕上げています。あつあつのジャガイモ、小タマネギがごろごろしているのも魅力。
こちらも秋冬の夜長を楽しむ一皿、「サーモンと栗のチーズクリームソースペンネ」(1100円)。濃厚なクリームソースの間に、栗がたくさん見え隠れしています。
「もともとクリエーション全般に興味を持っていたのですが、その中でも、料理を作るということには特別なものを感じます」
シェフの武安さんが話してくれました。
「自分の作った料理がお客さまの身体の中に直接入っていく。それは他のクリエーションにはない、すごいことだと思うんです」
武安さんがじっくり考えながら口にした言葉の新鮮さは、食べること、料理することの根本的な不思議さをあらためて考え直すきっかけを与えてくれました。