戦災を免れた長屋をカフェに
文京区小石川、「こんにゃく閻魔(えんま)」の愛称で知られる源覚寺。その門前町として発達した古い商店街の一角に、2008年夏、時代の記憶をとどめる長屋カフェが誕生しました。黒ずんだ板壁をそのまま活かした魅力的な外観。引き戸の横に吊された赤い風鈴の短冊が風に揺れています。
戦前から建っているという木造2階建て長屋のひとつをセルフ・リノベーションしてカフェに生まれ変わらせたのは柏木珠希さん。ご本業は開運・スピリチュアル関連のエッセイや、お店の開業に関する著書を上梓しているライター&エッセイストです。
「さと和」と名づけたカフェのオープンまでの経緯は、柏木さんの日頃のお仕事と切っても切り離せない関係にあるよう。
もともとお酒とお料理が好きで、人をおもてなしするのが好き、そして仕事で多数の古民家リノベーション店舗を取材して回るという日々が、「いつか自分でも飲食店を」というヴィジョンを育み、また、たくさんの浅からぬご縁を呼び寄せたようです。
今回の記事では、2階に居心地の良い座敷がひろがる長屋カフェをご紹介します。古びた家屋を自分たちの手でひとつひとつ改装していったプロセスも、可能なかぎり資源のリサイクルをおこなうなど共感をおぼえるものでした。