あの壁を渋谷から運んで…
細い路地の角に面したマンションの一室は、もとは骨董品店だったという空間。晴れた日には木の扉が開け放たれて、緑青色のアンティークのドアチャイムが風が吹くたびに微かな音色を聞かせてくれます。
漆喰の壁に二つ並んだハンカチほどの可憐な小窓と、苔玉が繊細な緑をひろげるカウンターに見覚えのあるファンも多いのではないでしょうか。
この壁は、渋谷の屋上に作ったものをそのまま運んできたのだそう! オーナーの稲垣さんにそううかがい、再開の嬉しさに手を合わせてしまいました。木と漆喰で仕上げた壁だから移築が容易だったのですね。
改装を担当した大工さんも渋谷のクワランカカフェと同じ人物。たったひとりで、稲垣さんの希望をもとに内装や家具を時間をかけて仕上げたのだそう。光の交錯が美しい苔玉カウンターの下に並ぶスツールも彼の手作りです。
二人がけの革のソファ(写真上)も見覚えがあるもの。新クワランカを二度目に訪れたときには、このソファに座って連れと二人でビールを飲みつつ食事を楽しみました。座面がかなり低いので、一度腰をおろしてテーブルの下に足を伸ばすと、すっかり寛いでしまって帰りたくなくなるのがちょっとした難点です。