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ウェグナーの椅子とドーナツ・ドリッパー(5ページ目)

高崎哲学堂で「ウェグナーに座ろう」が開催中。話題の「ドーナツ・ドリッパー」の作者、中林さんが点てるコーヒーを飲むこともできます。ウェグナーの椅子に座って極上の一杯を楽しむために出かけてみませんか?

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

毎日、コーヒーのことばかり考えていた

中林さんは大学卒業後、就職して会社員になったものの、ルーティンワークの毎日に飽き足らずカフェを開業。その理由は「とにかくコーヒーが好きで、ずっとコーヒーといっしょにいたくて」

お店に立ってコーヒーを淹れる毎日は、同じことの繰り返しではないのでしょうか?

「それが毎日違うんですよね。いらっしゃるお客さまによって、日々、カフェの空気は違いますから。それに、ぼくはコーヒーを淹れるという作業が好きでたまらないんです。コーヒー豆を挽くときの香り、お湯の最初の1滴をコーヒーにたらした瞬間の香り、コーヒーの粉がふくらんでいくときの香り。それぞれに個性がありますよね。こんなに楽しい作業が、ほかにありますか?」

心底嬉しそうにドリップの楽しみを語る中林さんの姿は、まるで猫がマタタビを語るようでした! なるほど、この尽きない深い愛情が、あのドーナッツ・ドリッパーを生みだしたのですね。


ドーナッツ・ドリッパーの誕生

ドリッパーには三つ穴のカリタ式や円錐形のコーノ式がありますが、それぞれのドリッパーで抽出するコーヒーの味の違いに驚いたのが、ドリッパーのかたちへの興味の発端。

コクと風味の豊かな、それでいて重くない味わいをめざして、白い磁器のドリッパーをドーナッツ型の木製受け具に通して使う新しいドリッパーが発想されました。

おいしいコーヒーが抽出できるだけではなく、そのままテーブルに飾っておきたくなる美しいフォルム。道具としての機能を追究していった結果もたらされた、目を喜ばせるデザイン。手のひらを喜ばせる感触。それはまさに「用の美」そのもの。

コーヒーをドリップするのはキッチンでの作業ですが、こんな素敵なドリッパーなら、リビングルームに持ってきて、テーブルの中心でドリップしても違和感がありませんね。
torchというブランド名には、みんなが集まる中心に、明るい焚き火のようにしてコーヒーがあったらいいな、という願いをこめた“たいまつ”の意味と、キッチンの道具をリビングへという“倒置”の意味が織り込まれています。

それにしてもこのドリッパーは、あまりにも毎日コーヒーを愛して、コーヒーのことばかり考えている中林さんに、コーヒーの神さまがプレゼントしてくれたようなアイディアですね?
「そうなんです、コーヒーの神さまが『おまえ、ちょっとやってごらん』と背中を押してくれたような気がするんです。」

東京に戻ってから、コーヒーの神さまの姿が中林さんの肩ごしに写っている写真を発見しました! ほら、下の写真……え、ただのコーヒーポットの影でしょうって? ええ、もちろんそういう見方もありますが(笑)

▼ひたむきな想いのコクを抽出する

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