「お茶には2種類あります」
2種類のお茶のうちのひとつは、水がわりにがぶ飲みされているペットボトルのお茶や、スーパーで安価に売られているお茶。大量生産、大量消費のためのお茶です。もうひとつは、おいしさをゆっくり味わって飲むためのお茶。お茶農家の人々が毎日手間ひまかけて大切に丹精しているものですから、決して安価に大量に作れるわけではありません。
「おいしいお茶を淹れるコツは、後者の良い茶葉を選ぶこと、良い水を使うこと、そしてちゃんとメンテナンスされた急須を使うことの3つです」
と和多田さんは言います。
「それには、スーパーではなくお茶の専門店に行って、良い品質の茶葉を購入されることをおすすめします。お店の人に気軽に質問してみて、きちんと納得のいく答えが返ってきたら、そのお店で買うといいでしょう」
なにげなくお茶を買いもとめるときに、私たちはお茶をめぐる世界観をも選択しているようです。安さを優先する大量生産、大量消費の世界と、手間もお金もかかるうえに少量しか生産できないけれど「ほんとうにおいしいもの」を守ろうとするスローな世界と。
急須のメンテナンスも大切な要素
「茶葉も急須も、安いものは残念ながらやっぱり<それなり>でしかないのです。百円ショップで手に入るような急須は、金網にきちんとした加工が施されていないために金属の匂いがするものがありますので、気をつけてください」毎日使う急須。愛情をこめて長く使っていくためには、時間をかけて良い急須を選びたいですよね。
そして、急須は水洗いが原則。決して洗剤や漂白剤を使ってはいけません。急須の肌が洗剤や漂白剤の匂いを吸い込んでしまうのです。
「どうしても茶しぶが気になる場合は、歯ブラシ、お湯、メラミンスポンジを使って磨いてください。でも、良い茶しぶは本当はお茶をおいしくしてくれるんですよ」