この空気感と、ふっくらパンケーキの取りあわせの妙
ひっそりしたたたずまい。無数の傷あとが残る古い木のテーブルと、アメリカの納屋の廃材だったという床板。棚にディスプレイされた質感豊かなうつわたち。ひかえめで心地良い音楽。
それらが醸し出すしっとりした空気感を楽しみながら、1枚の紙に印刷されたメニューに目を落とすと、並んでいるのは意外にもパンケーキの数々。こういうインテリアのカフェで、パンケーキ? ……そう、この取りあわせもまた、ももちどりの尽きない魅力のひとつなのです。
今回は2007年4月に小田急線で新宿から2駅、「参宮橋」の駅近くに誕生した小さなカフェ、ももちどりをご紹介しますね。改札口を出て左手、細い通りがうねるように続く商店街を道なりに進むと、通りの左側に、目立たないけれど確実にカフェ好きの目を吸いよせる看板が出ています。
うぐいすのさえずりを聴きながら
うつわへの想い、そしてパンケーキへの愛情が高じてカフェのオープンにいたったのかもしれない、とおっしゃるオーナーは関谷智恵さん。辞書で「百千鳥」を調べてみると、うぐいすの別名であり、また「春の山野に小鳥が群がりさえずるさまや、その鳴き声」とあります。この印象的な店名の由来を関谷さんにうかがうと、お店の工事をしているあいだ、近所に住みついているうぐいすのさえずりが聴こえていたこと、そして関谷さんが4月生まれであることから名づけたのだそうです。