記憶に残る空間
きれいなカフェ、スタイリッシュなカフェは日本中にたくさんありますが、それらすべてが記憶に残るかといえば、どうやら少し違うようです。膨大な枚数のカフェの写真を整理しているときに、この写真はどこのカフェだったかしらと、5秒ほど腕組みをして考えなければならない事態がときどき起こります。
記憶に長く残るカフェ。いま出会いたいのは、そんなカフェであるように思います。先日訪れた吉祥寺のCafe Amarには、その願いに応えてくれる印象的な空間がありました。
全体的にパリとモロッコがミックスされたような雰囲気。トマト色の壁が映画『アメリ』の寝室を思い起こさせたりもします。まず目を奪われたのが、天井から鎖で吊られた古いブランコ型の椅子(写真右)でした。英国製で、かつてはインドの小学校の中庭にあったものだといいます。
イメージは、アマルという少女の部屋
Cafe Amarは2006年12月、吉祥寺にオープンしたカフェ。アマルはアラビア語で「月」「希望」を意味します。
「アマルという名前の架空の少女の部屋という設定で内装を考えました」
と話してくれたのは店長の山口恵美さん。
「店内にはさまざまな国のアンティーク家具がありますが、”おうちにあって、いろいろな世代の家族に触れられ、使い込まれてきたもの”、”祖父母の代から受け継がれてきた大切な家具”をイメージしています」
ちなみにその日、私が座った席のテーブルは、お蕎麦を打つ台だったのもに脚をつけたとか。魅力的なのは家具ばかりではありません。窓からは蝶のオブジェの舞う中庭が見えていました。