桜で染めた毛糸が、水色?
この日、戸國さんの見事な手さばきで魔法のようにするすると編まれていたのが、早春のうっすらと霞んだ空のような水色。その毛糸が桜の木で染めたものだとうかがって驚きました。桜の葉や枝、実を使って染められた糸の色は、人の肌のようであったり、明るい土の色であったり、光をふくんだ雲のようであったり。思いもよらない色彩のバリエーションを見せてくれます。
お店には「桜を楽しむ会」による貴重な桜染めの糸が置かれているほか、ミントや薔薇、くるみなど、自然の植物で染められた糸ばかりが並んでいます。だからMother earth BISの空間には、ふわりとしたあたたかな色が満ちているのですね。
それでは、桜の花びら色の毛糸は何で染めているのですかと尋ねたら、なんとこれだけは植物ではなく、サボテンにつく「コチニール」というカイガラムシ科の小さな虫で染めてあるのだそう。(ちなみにシャネルの口紅にもコチニールが使われています)
美しい色に囲まれて編み物をする人々の手もとを近くで眺めていたら、なんだか私の両手もむずむずしてきて、15年ぶりになにか小さなものを編んでみようかしらなどという気持ちが湧いてきました。手を動かす喜びは、いつでも誰にでも開かれているのです。
shop data
Mother earth BIS(マザーアース・ビス)所在地 東京都港区南麻布3-3-39
TEL 03-3280-1040
営業時間 10:00~18:00
定休日 火・水・第1土・第3土
地図 Yahoo!地図情報
【ニットカフェ】
毎月第1・第3金曜日17:00~20:00
地下鉄日比谷線「広尾」駅 徒歩10分
大江戸線・南北線「麻布十番」駅 徒歩10分
「仙台坂上」交差点そば