カフェ/池袋・駒込・上野・浅草のカフェ

SPICE cafe(スパイスカフェ)…押上(4ページ目)

築40年以上の木造アパートを改装したカフェは、今や下町の新名所。本場インドで料理の腕を磨いたオーナーが作るコース仕立てのカレー料理を目当てに、遠方からもお客さまが訪れます。

川口 葉子

川口 葉子

カフェ ガイド

ライター、喫茶写真家。著書に『東京カフェ散歩 観光と日常』『京都カフェ散歩 喫茶都市をめぐる』(祥伝社)、『街角にパンとコーヒー』『東京の喫茶店 琥珀色のしずく77滴』(実業之日本社)他多数。雑誌、Web等でカフェやコーヒー特集の監修、記事執筆多数。Webサイト『東京カフェマニア』主宰。

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スパイスカフェの壁

自然に還る循環型の素材だけを用いて

古いアパートには、思わぬ<宝もの>が隠れていました。壁を取り壊しているときに中から現れたのが、写真上の「竹小舞」と呼ばれる竹を編んだ格子。元の壁は竹小舞の上に土壁を塗って仕上げられていたのですが、これは結露を起こさず、壊れても水と練り合わせることでリサイクルできる優れた素材。SPICE cafeには竹小舞をそのまま残し、自然素材の珪藻土を使って壁を仕上げました。

壁を塗ったのは伊藤さんご自身。左官屋さんの実地指導を受けて毎日塗り続けた結果、最後の頃にはプロ並みの腕前になっていたそう。見かねて手伝ってくれたという友人たちも、きっと壁塗り名人になったことでしょう。

今では見かけなくなった玄関の三和土(たたき=土間)の作り方も職人の直伝。オープンキッチンの壁のタイルも自分たちで貼ったものですが、セルフビルドにありがちな稚拙さを感じさせないのは、ご本人の努力と、ご近所の職人さんたちの教え方の巧みさの賜でしょうか。

窓

店内のカウンター板やテーブルは、古木材で使ったオリジナル。向島で解体された築80年の家屋から、無垢材の柱や梁を譲り受けたのだといいます。何十年ものあいだ薪ストーブにじっくりと燻され続けた梁は、時の経過でしか加えることのできない風合いになっていました。

古い家のディテールは興味がつきないものです。波ガラスのはまった窓には、本当に懐かしい、さしこんでぐるぐる回すタイプの鍵(写真上)。 風雨の強い夜などに雨戸を閉めると、風が吹きつけるたびに雨戸がガタガタとたいへんな音をたて、若いお客さまに珍しがられるそう。
音の風景も、時代の経過とともに消えていくものなのですね。もしかしたら、台風の夜に古い日本家屋がどんな物音でいっぱいになるのか、聞いたことのない人々が増えているのかもしれないと思いました。


▼町の未来にも目を向けて。


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