ブドウ染めの挑戦
このプロジェクトでは、染色の職人自身がクリュッグの醸造施設を訪れた。史上初ではないかと言われる、ブドウによる京友禅の染色を行なうためである。繊維に色を定着させるプロセスで草木染めは素材と異なる色に仕上がるため、試行錯誤を繰り返して糸を染め上げたという。年月が経つにつれて、いま薄紫がかった桜色を呈している部分も色が変化していくはずである。こうした変化は、シャンパーニュの熟成を連想させる。じっくりと年月をかけて変化を遂げる中で、上質なものだけが優れた味わいを長く発揮出来るという訳である。
付随する小卓は、水面のように曇りひとつない上面に深い闇のような漆黒をたたえている。小部屋の中で使えば天井の模様が映え、室外で使えば周囲の景色が映えるという趣向である。
なんとも風雅なこの小部屋、実際に屋外で使うのは雨が降ったり日光で友禅が色褪せたりと心配ではある。だがそれよりも「こんなシチュエーションで、こういう風に使ったら……」という我々のファンタジーを刺激してくれる。
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