「ハウススタイル」を継承する


黄色いラベルのボトルとシャンパーニュが注がれたグラス
ベーシックなイエローラベル(写真提供:ヴーヴ・クリコ ジャパン)
こうして丹精込めたブドウから、まずひとつひとつの「品種と畑」の組み合わせで、炭酸の入っていない白ワイン(シャンパーニュの「ベースワイン」)になる。品種は黒ブドウのピノ・ノワールとピノ・ムニエ、白ブドウのシャルドネの3種類で、それぞれのキュヴェによって調合のパーセンテージはだいたい決まっている。このバランスがヴーヴ・クリコのシャンパーニュの味わいの基本となっている。

その年の天候などさまざまな条件によってブドウの出来は違うので、ヴィンテージ・シャンパーニュの場合「どこの畑」「どの品種」と選んで、さらに調合割合を微調整する。たとえばテイスティングに供された熟成感のある1990年のヴィンテージリザーヴは、3つの地域にある17の畑からブドウをブレンドしている。数多くのベースワインから、さまざまな畑の組み合わせと割合で試作を重ねて味見し、仕上がりを予測しながらこの組み合わせを決定するのは簡単ではない。

ノンヴィンテージの場合にはさらに、手持ちのベースワイン300種のいわば絵の具のパレットの中から、仕上がりの味をヴーヴ・クリコらしい味わい(つまり絵で言えば「画風」)の「ハウススタイル」にまとめるという作業である。ベースワインはそれぞれの味も違う上、常に熟成して変化している。しかも各ワインの在庫量はさまざまで、量的なやりくりも考慮しなくてはならない。このブレンドは、ヴィンテージ・シャンパーニュの場合よりはるかに複雑である。

こうした意味を込めて、ペテルス氏は何度も強調する。「ヴィンテージ・シャンパーニュ造りは簡単なのです!最高のワインを選んで最高のブレンドをすればいいのですから。本当に難しく、そして大切なのはノンヴィンテージ。イエローラベルをきちんとハウススタイルに仕上げることです」

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