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お客さんのことを思ってる店こそが愛される。 【コラム】気を使う店・ダメな店

同じメニューを出すラーメン店でも店によって気の使い方が随分と違う。今回はコラムとして、いくつか書いてみた。

大崎 裕史

執筆者:大崎 裕史

ラーメンガイド

同じラーメン店でもお客に対する気遣いはマチマチ。どうしてこうも差が出るのだろう?と思う。「また来よう」と思う店は味以上にそんな気遣いのある店ではないだろうか?

お店のちょっとした気づかい

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▲「えにし」のつけめん
戸越銀座の「えにし」がまだ恵比寿にあった頃の話。その日は客数も少なく、私以外に数組。隣にはラーメンを待って漫画を読みふけっている青年。その青年がトイレへ行った。ふと厨房を見るとしばらくしてラーメンが出来上がった。青年はまだトイレから戻らない。店主はラーメンを手元に置いたまま、しばし待つ。しかし1分もしないうちにそのラーメンを捨て去り、新しいラーメンを作り始めた。出来たてのラーメンを食べて欲しかったのだろう。

まもなく青年はトイレから戻り、また漫画を読みふける。すぐにラーメンは出来上がり青年の元へ。店主は「お待たせしました」の一言だけでラーメンをその青年に渡す。青年はちょっと前の出来事を知るよしもない。何もなかったかのように時は過ぎていった。元々好きだった店だが、さらに私のお気に入りの店になった。


つけ麺のスープ割り

つけ麺の「スープ割り」はどこから始まったのだろう?元祖である「大勝軒」の山岸さんも最初からやっていたわけではないらしい。「つけ麺大王」では最初から割り湯が出てくるので、そのあたりの影響かもしれない。お店にとっては、麺を水で締める作業や器を二つ使うことも含め、ラーメンと比べると随分と作業が増える。つけ麺をやらない店はそんなことも理由の一つであろう。

スープ割りを頼む時に残ったつけ汁の量は人によって様々。でも、ほとんどの店は残量に関わらず、スープを「適量」加えるだけだ。だから、濃さもマチマチ。そんな中「湘南大勝軒」は、多めに残っていたつけ汁を少し捨て、程良い量にしてからスープを加えていた。もちろん、出てきたスープは大変美味しいスープだった。


つけ麺好きが作るつけ麺

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▲「麺楽」のつけめんは麺が揃ってきれい
青梅にある「麺楽」は、珍しいつけ麺専門店(お店は「つけそば」と呼ぶ)。つけ麺のバリエーションこそあれど、スープの入った汁そばはない。だから、寸胴でスープを取ってはいるが、これは「つけ汁」のため、あるいは「スープ割り」のためのスープである。出てくるつけ麺は、いかにも「つけ麺好きが作ったつけ麺」である。

ここの所、都内を中心につけ麺を出す店が増えたが「うちもつけ麺を出してみようか?」という程度の考えで出している店が少なくないように思う。つけ麺をおいしく食べさせようという気持ちが見えないのだ。ここでは出てきた麺がきれいに並んで見るからに美味しそう。しかも、見た目の良さだけではなく食べやすい。つけ汁の量と濃さ、具の量とカットの仕方、味付け、ついつい「これこれ」と思いながら顔がにやけてしまう。もっと近ければ嬉しいのだが。


こんなお店はおいしくても嫌い

ある夏の暑い日、駅から遠く、やっと着いたお店はエアコンがあまり効いて無く、汗が流れ出す。しかも換気も悪い。厨房はもっと暑いんだろうな、と同情もするがそんな環境でおいしいラーメンが作れるのだろうか?と疑問に思う。喉の渇きを癒すため、水を飲むとぬるい。氷も溶けきっているようだ。もちろんおいしくもない。そして客数が少ないのに、注文したつけ麺に時間がかかりすぎる。出てきたつけ麺は、やや小さめの器にぎっちりつまった麺。どうしてこんなに窮屈にしてしまうのか?

案の定、麺を持ち上げにくいし、ほぐしにくい。さらにこの麺、自家製なのだがちょっと長めなのか、箸で麺を持った手を高く上げても上がりきらない。となると途中でつけ汁に入れることになり、器からこぼれること数度。ここの店主は自分でつけ麺を何度か食べたことがあるのだろうか?せっかくおいしいつけ麺なのに、おいしく食べされる環境が全く出来ていないのだ。
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●【コラム】ラーメン店のサービス
●つけ麺の元祖「超難関のラーメン店」
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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