週刊現代の連載で「斑鳩」の記事を書くことになった。しかし、書くことが多くて、2つの案が出来てしまった。掲載されたのは一つなのだが、もったいないので両方ともこちらの記事として載せておくことにした。

■斑鳩の「特製らー麺」■

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【その1】
 2000年4月の開店で、私は5月に食べに行っている。その時の感想がこれ。
 「全体的に悪くはない。悪くないんだが、何か物足りないんだなぁ・・・・。 」

 新店が続々開店する東京において、私は同じ店に何度も足を運ぶ余裕がない。だから、一度しか行ってない店も多い。前記のような感想だとほとんど二回目はない。しかし、ここは違った。6月にも、そして8月にも足を運んでいる。期待させる何かを感じたのだ。そしてその期待は時を待たずに現実の物となった。

 開店当初は外観や味が有名人気店に似ていることでラーメン好きから少し不評を買った。しかし、そんなことにはめげずに、いや、それに発奮してか、着実にファンを増やしていった。もちろん味にも改良が加わり、日に日に美味しくなっていった。今ではランキング上位の常連になり、大手即席麺メーカーから斑鳩ブランドの生麺も発売され、もはや横綱クラスの貫禄と言っても良い。

 店主はまったくの未経験から店を始めた。開店当初の物足りなさは、そんな経験の浅さが出たのかもしれない。しかし、今となっては「ラーメン店の常識」を知らないことが功を奏したといえる。ラーメン店では一般的に原価率を30%程度に抑える。そうしないと売っても売っても儲からないからだ。ところがそうした知識が無かったために「旨い物を作るなら、いい材料を」と一時は原価率50%を超えていたという。(今は同じ材料で原価率を落とすことに成功している。)

化学調味料に頼らず、高級料亭で使う本枯れ鰹をはじめ、厳選の天然素材を二十種類ほど使っているのだ。最初から数字ありきだったらこうはいかなかったであろう。おかげで今は豊潤な天然旨味たっぷりのスープを堪能することができる。もちろんいい材料を使えば誰にでもうまいものができるとは限らない。バランスが大事。努力と工夫で完成したスープなのだ。その風味を大事にするあまり、ラーメンには付き物のネギを使ってない。これも常識にとらわれない独自の発想の一つ。ここまでこだわった「らー麺」。食わずにおれるか?