丸見えのキッチンは、「ARBOL」の見えない黒板
店内のど真ん中にあるオープンキッチン |
これらの料理を作り出すキッチンは、他店のオープンキッチンと比べても、かなり丸見え。それは、ここまでゲストの目線上にあるキッチンが、かつてあっただろうかと記憶をたぐり寄せるくらいです。
古田シェフいわく、「これだけ見えていれば、新鮮な野菜を使って、料理をしているのは、一目瞭然。だましたり、ごまかしたりできない環境が、「ARBOL」のメニューの一部でもある」。
3人並んだ中央にいるのが、古田崇シェフ |
「自分で野菜を作ってみて、よくわかりましたが、「作る」ということは、とてもハードなこと。必ずしも、毎日、それを手に入れることができないのが、自然の成り立ちです。でも、他へ食事に行くと、○○産と表示された印刷メニューが手渡される。それを見ると、いつも本当にそうなのだろうかと疑問がわきます」。
そういう意味でも、「ARBOL」では、できる限り、その日のメニューはリアルタイムで黒板に、また、屋上菜園の野菜を使った時は、口頭でそれを伝えるようにしているのだそう。
なので、丸見えのキッチンは、「ARBOL」の見えない黒板。誠実さや正直さを、何よりも雄弁に物語っています。
煮詰る思いを発散するのは、皆で何かを一緒にすること
右に見えるのは「ARBOL」玄関。そこだけ見ると、普通の家と全く変わらない |
そんなキッチンに、現在、働きに来ているのが、群馬の田尾農園のスタッフ。雪が溶ける3月くらいには、また現地へ戻るそうですが、それまでは、自分が作った野菜がどんな風にレストランで使われているかを、実体験で学びます。
でも、これは、「ARBOL」にとっても、野菜の話をたっぷり聞ける良いチャンス。まさに、交換研修ですね。
古田シェフいわく、「レストランは、とても狭い世界。ゲストは毎日変わっても、スタッフは日々、同じ顔を付き合わせて仕事をしています。なので、キレイ好きなヤツとそうではないヤツが一緒にいるだけでも、時折、小さなことで、ぎくしゃくすることもある。でも、気持ち良く働くには、それなりに違う風も必要です」。
ガラスの向こうはテラス席。冬でも希望があれば座れます |
そのひとつが、皆で遠方の畑をまわることだったり、サーフィンをすることだったり。「少しでも、外へ出ることで、煮詰る思いを発散し、リフレッシュできたら。しかも、それが野菜作りなら、なお、お店にとっても良いことです」。
外からでは、中の人間関係はなかなか見えないものですが、どんな職場にも、どんな人にも、いい日と悪い日は必ずあるもの。そのあたりまで、率直に話してくれる古田シェフの姿勢は、真っ直ぐに育った安全な野菜と、重なるような気がしました。
「接客は、居酒屋もレストランも、伝えるところは全部一緒。「ARBOL」は、居酒屋の「へい! らっしゃい!」を、もう少し丁寧にしたくらいの感じ。でも、元気だけはそのままなので、それが伝われば、とても嬉しいです」。充分、伝わりました!
キッチンスタッフと打ち合わせをする古田崇シェフ(手前) |
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石塀に取り付けられた「ARBOL」の石の看板 |
■ARBOL
所在地:新宿区神楽坂4-7
TEL:03-6457-5637
営業時間
ディナー:17:00~23:00(LO)
定休日:無休
東西線・大江戸線飯田橋駅B3出口徒歩約7分
大江戸線牛込神楽坂駅A3出口徒歩約5分
地図:Yahoo!地図情報
オープンキッチンを眺めるソファ席 |
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