一つのゲームが世に出るまでに400回のテストプレイ
先般、2008年のドイツ年間ゲーム大賞を受賞したゲーム界の巨匠、ライナー・クニツィア。彼などは、自らのゲームを世に出すときは、1つのタイトルにつき、400回ものテストプレイをすると聞いたことがあります。一方、作者がいないチェスやバックギャモンなどの古典的なゲームでも、現在の形になるまでに、数百年から数千年の時を経ています。
ウィスキーがその製造過程でどんなに丹精こめて作られても、最後は熟成という「時間」の手に任せるように、作家のいるゲームも、古典的ゲームも、どちらも幾多のプレイと膨大な時間によって磨き抜かれ、現在の形に落ち着いているのです。
味わいがより屹立する
お酒は、ただ呑んで愉しめばいいものですが、その製造過程や背景などを知っていれば、よりおいしく味わえるということはあると思います。ゲームを遊ぶ時には、ゲームそのものを愉しむのが第一義ですが、カードの枚数や、駒の数、ボードのマスのレイアウトなど、なぜそうであらねばならなかったという、作者の意図にまで思いを寄せてみると、いままで遊んでいたゲームでも、違った側面がみえてくるはずです。
そしてもし、そのゲームを成立させている精緻なバランスや企みに気がつくことができれば、間違いなく今以上にゲームを深く愉しめるはずです。