残された遺留品や証言の中には「何処そこの通りの××まで進み、向かいにその場所があった」などといった地理的なヒントだけのものもあります。この場合は実際に地図にあたり、教えられた道順を手がかりに住所を探し出さなければなりません。こんなときは本当に100年前のロンドンに迷い込んでしまった錯覚に囚われることがあります。
要するにこのゲームは書籍本体を起点として、タイムズ、地図、住所録を行ったり来りしながら捜査を進め推理のための材料を集めていくのです。
ゲームには小説でもおなじみのキャラクターや縁の地が登場し、細かい設定までが見事にゲームに生かされています。シャーロキアンでさえ文句のつけようがない程の完成度の高さです。
今考えれば時代を遥かに先取りしたインターラクティブゲームです(発刊は1985年というのに!) この内容、この密度、このマニアック度は良い意味で常軌を逸しています。生半可な推理力では決して答えは出せません。プレイ時間はあなたの捜査力によってまったく異なってきますが、1エピソード遊ぶにもたっぷり1日かかることがもあることかもしれません。
このシリーズは『呪われた館』『死者からの手紙』と続編まで出ていますから全ての事件を解決するには一体何日かかることやら…(シリーズは4までありますが最終巻はボードゲームのようです。残念ながらまだ手に入れていません)
最後に立ちはだかる最大の敵は・・・
捜査が終了したと思えば(どこまで捜査を続けるかもすべてプレイヤーの判断)章のラストに事件の真相を問うチャート表に進みましょう。集めた情報を基に推理し質問欄を埋めていきます。
いよいよ巻末の解答編に進みます。ここでホームズ直々に事件の真相を解説してくれます。捜査地点ごとにポイントが決まっており得点が与えられます(当然より適切でより少ない情報源から推理した方が得点は高い)ホームズもあなたと同じ条件から人や場所を導き出し推理していますので、文字通りのホームズと知恵比べができるのです。
事件の真相究明がゲームの目的ですが、実は最も手強い敵はシャーロック・ホームズその人なのです。世界最高の探偵を上回る推理ができたでしょうか。
残念なお知らせを1つ。このゲームはすでに絶版で通常の書店では入手が難しいと思います。しかし1つの頂点に達した驚くべき傑作でありご紹介せずにはいられませんでした。
巻末の関連リンクにガイドが中古本を入手したサイトをご紹介しておきました。もっともシャーロキアンのあなたであればヒントなしでもこの本を探し出すことなど造作もないことでしょうが…
【関連・参考サイト】
・霧のロンドンに潜む犯罪者を炙り出せ!(後編)『スコットランドヤードへの挑戦状』
・ヤフーオークション(説明不要の代表的なオークションサイト)
・アマゾン(新作のみならず古本も扱っている)
・復刊ドットコム(ユーザーから再販の要望を集め出版社に復刊を交渉するサイト)