カナリアと愛称されたブロードウェイ歌手が自宅で何者かによって殺害されます。しかも密室殺人。彼女に浅からぬ関係をもつ4人の男達が浮かび上がりますが、全員にアリバイがあり、警察はお手上げ状態です。捜査を依頼されたファイロ・ヴァンスは思わぬ奇計にでます。なんと容疑者全員を呼びつけポーカーゲームを催したのです。
こちらもプレイスタイルを観察して心理的側面から犯人を暴き出そうという大胆な作戦。異を唱える検事に向かってファイロはこう言い放ちます。
『ポーカーの十分の九は心理学なのだ。あの遊戯を理解しておれば、一時間、ポーカーテーブルに座っているだけで、おざなりの交際をした一年よりも、もっとよく、人間の内部性質を知ることができる』
どちらの作品もミステリーとして一級品であり、ゲームの知識が無くても十分に楽しめますが、やはりルールを知っていた方が興味深く読めるということは言わずもがなです。小説が先かルールが先かそれが問題だ、です。
それにしてもプレイスタイル1つでここまで見抜かれてしまうとしたら、おちおち他人とトランプもできませんね。
【関連・参考サイト】
エルキュール・ポワロ関連
・『ひらいたトランプ』アガサ・クリスティー著 ハヤカワ・ミステリ文庫
ファイロ・ヴァンス関連
・『カナリヤ殺人事件』ヴァン・ダイン著 創元推理文庫
オールアバウトジャパン関連
・おかずレシピガイド 山崎優佳子さん 記事『ポワロがいざなう「おいしい」ミステリー(1)』