『大玉』の生みの親、斎藤由多加氏は語る!

『大玉』に現代サラリーマンの縮図を見た!”の記事では、ガイドが感じる『大玉』の魅力をご紹介しました。そして当記事では、クリエイターの斎藤由多加氏に直接お話を伺いますッ!

斎藤由多加氏

───いわゆるピンボールを題材にしたゲームかと思いきや、実際に遊んでみると、斬新なゲーム性を追求した結果、たまたまピンボールに近くなったという印象すら受けました。『大玉』は、そもそもピンボールゲームなのでしょうか?

斎藤由多加氏(以下、斎藤): ピンボールというメタファーを利用した新しいゲーム、と表現したほうが適切だと思います。ピンボールのゲーム性と、『大玉』のゲーム性はずいぶんと異なると思いますので、ピンボールファンの方から見ると、純然たるピンボールゲームとは違うものに見えるでしょう。どちらかというとピンボールというよりも、ラグビーとかアメリカンフットボールに近い感覚ではないかと思いますね。

───ピンボール台に人が居るというオドロキと、地形やギミックを活用した攻略法を見つけるヨロコビを同時に感じました。シミュレーションゲームや、アドベンチャーゲームの要素も含まれているように感じるのですが?

斎藤: そうでしょうね。とくにシミュレーションは私が仕事をしている分野だと思っていますので、その特徴は強いと思います。アドベンチャーゲームともっとも異なるのは、そこに提供されているものが「物語」ではなく、「環境」である、ということだと思います。つまり答えがひとつではない。企画者側も、どうするといちばん早くクリアできるか、という答えは持っていません。それが『大玉』の愉しみのひとつだと思っています。

───『シーマン』でも、音声認識を駆使した斬新なゲーム性が話題になりました。『大玉』における音声認識の位置づけは、『シーマン』とは異なるようですが?

斎藤: 『大玉』では、「会話」を楽しむような機能はとくに持っていません。“押せ”などといった「コマンド」を行うための音声です。ピンボールというのはアクション性が高いので、ピンボールを動かす以外のコマンドをボタンで出すのは困難と判断して、マイクを導入したのです。“押せ押せ押せ押せ”と何度も声で指示しているうちに、気持ちが高揚してくる特徴を生かすようにデザインされています。体育祭みたいなゲーム、と表現したほうがいいかもしれませんね。

───名優・大滝秀治氏のナレーションが最高です。プレイヤーにアドバイスをしてくれたり、ときには苦言や罵声を浴びせられたり……。どういった経緯で大滝氏にナレーションを依頼することになったのでしょう?

斎藤: ゲームというのは、プレイヤーが孤独になりがちです。とくにデジタルのピンボールがベースとなると、リプレイ・リトライを何度も繰り返すものなので、それを激励し助言し、ときとして叱咤する、ガイドのようなキャラクターが居ないとプレイヤーは不安になるものです。叱ったり、励ましたり、笑わせたり、『シーマン』ではその役を細川俊之氏にお願いしましたけれど、それらを嫌味なくできる家臣をつけることは企画当初から想定していまして、『大玉』では具体的には大滝さん以外は考えられなかった。大滝さんには何度も手紙などでお願いし、ようやく引き受けていただきました。

実際に録音してみると、あまりの音声トラックの多さに、大滝さんは戸惑われていたようですが、ひとつひとつの声は、名優さんでしかできない極めて品質の高いものです。このゲームに命を吹き込んでくれました。

───大玉が釣鐘に当たると敵兵がふっとぶ爽快感はサイコーですね! 当初、『大玉』は"釣鐘をゴールに導く"というルールではなかったと伺いました。釣鐘を入れる前は、どのような内容だったのでしょうか。

斎藤: たくさんの兵たちを戦略的に移動させるゲームでしたが、これだとあまりに複雑で、プレイヤーは画面のどこに集中したらいいのかわからないという問題を発見しました。そこで兵の象徴としての、つまりプレイの焦点となるキャラクターを設定することが必要になってきました。それが釣鐘衆です。「釣鐘」である必然性はとくにありませんが、たったひとつ、大玉が釣鐘に当たることによって何かが起きる、というものにしたかったのです。

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『大玉』開発の裏側と、もっと楽しむコツとは!
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