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今、ゲーム「雑誌」の存在意義は(2ページ目)

インターネットとは違う、ゲーム「雑誌」ならではの強みとは何か。この課題に本気で取り組む任天堂専門誌「ニンテンドードリーム」のサオヘン編集長と、ガイド・川島が大マジメに対談!

執筆者:川島 圭太


インターネットは「デパ地下の試食コーナー」?

インターネットとは違う、ゲーム「雑誌」ならではの強みとは何か。ニンテンドードリーム編集長と、ガイド・川島が大マジメに対談!

───「ニンテンドードリーム」100号に載っていたサオヘン編集長と桜井政博さん(※1)との対談記事の中で、インターネットと雑誌のこれからについて少し触れられていましたよね。いつかサオヘンさんと、このテーマについてじっくりお話したいと思っていたんです。

サオヘン いいですね。お話しましょう(笑)。

───「雑誌」に対する「インターネット」というメディアの最大の強みは、何といっても情報の“速さ”ですよね。その日のニュースが、インターネット上ではリアルタイムに載ってしまう。これからの雑誌は、インターネットとは違う紙媒体ならではの長所を活かすべし!と語っておられましたが、具体的には?

サオヘン たとえば、「インターネットがあるから新聞を読んでいない」という人も居ますけれど、新聞から得られる情報量は計り知れないじゃないですか。時事ニュースはもちろん、それを掘り下げた分析記事、読者からの投稿、スポーツ欄や広告欄などにも、インターネットだけでは得られない情報がたくさん載っているんです。

───インターネットの記事は、紙媒体の記事よりも要約されていることが多いですからね。長文はインターネットには適さないということを考慮した結果でもあるとは思いますが……。

サオヘン インターネットだけだと、「何が起こったか」はすぐに分かっても、「何故、どうして起こったのか」といった具体的な背景まではなかなか見えてこない。デパ地下の試食コーナーでつまみ食いして、お腹いっぱいになった“つもり”になっているようなものですよ。実は情報量が十分ではなかったり、あるいは得ようとする情報が偏ってしまいがちだったり。

───より詳しい情報を発信することが、速報性とは違う紙媒体の役割になっている面はありますね。僕も、先にインターネットで知った情報を、新聞や雑誌などで改めて調べたりしています。

サオヘン あと、インターネットと雑誌とでは、自分の欲しい情報にたどり着くまでの過程に違いがあるんですよね。インターネットだと、読者は自分の欲しい情報まで一直線にたどり着いてしまいがちです。ところが雑誌だと、ページをパラパラとめくっているうちに、その読者が興味のなかったページも見えてきちゃう。

───それは凄く良く分かります。買いたいと思うゲームにめぐり逢うチャンスって、やっぱり雑誌のほうが多かったりしますから。

サオヘン 「オレは『ゼルダの伝説』の情報さえあればいいんだ!」なんて思いながらも他のページを適当にめくっていたら、思いがけず面白そうなゲームを発見したりするんですよ(笑)。

───それ、僕が『メイド イン ワリオ』(※2)を見つけたときと全く同じパターンです(笑)。

サオヘン 紙媒体ならではの強みですよね。紙だから、いつでもどこでも、電車の中でも寝ながらでもパラパラ読める。自分の興味のなかったページも見てしまう。そこから、まさに“新たな出会い”が生まれると思うんです。

───インターネット書店と、実際の書店との間にも、同様の違いがあるように感じますね。最近はインターネットでも気軽に本を購入できるようになりましたけれど、やはり実際に本屋さんに出かけて本を探すほうがワクワクします。

サオヘン インターネットで注文してしまえば、家に居ながら欲しい本がすぐに手に入るけど、本屋をブラブラ歩いているといろんな本が視界に入ってきて、面白そうな本をついでに何冊も買っちゃう(笑)。それが、本屋を歩く楽しさだったりするんですよね。

───「買う」にしろ「読む」にしろ、インターネットは目的地までピンポイントでたどり着いてしまうゆえ、“新たな出会い”が少ないというデメリットもある、というわけですね。

サオヘン そう。速報性ではインターネットには勝てないけれど、雑誌にしか出来ないこともたくさんありますから!

───インターネットにしか出来ないこともたくさんありますから!(笑)

(※1)「桜井政博さん」=『大乱闘スマッシュブラザーズ』や『星のカービィ』シリーズの原作者。現在はフリーのゲームデザイナーとして活躍中。
(※2)「メイド イン ワリオ」=2003年3月に任天堂から発売された、斬新すぎる「瞬間アクションゲーム」。同月に発売された『ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣』をも凌ぐ売り上げを記録する大ヒット作となりました。(→公式サイト

<目次>
今、問われるゲーム「雑誌」の存在意義
これからの雑誌は、これからの任天堂専門誌は、どうあるべきなのか!
インターネットは「デパ地下の試食コーナー」!?
“速報性”のインターネット、“新たな出会い”の紙媒体!
これからの「ユーザーが意識すべきこと」
あなたの大好きなものが、いつか滅んでしまうかもしれませんよ!
「雑誌」・「インターネット」徹底比較早見表!
どちらかに偏ることなく、両者のメリットを効率的に活かしましょう!
関連ページ
「ニンテンドードリーム」サオヘン編集長に一問一答!

 

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