Wikipediaによれば、ファミリーコンピュータ初のセーブ機能対応ゲームは『森田将棋』だったという。
『ドラゴンクエストIII』からはセーブ機能が備わり、「ぼうけんのしょ」に記録することで続きから遊ぶことができた。
これで書き間違えを恐れながらなんども「ふっかつのじゅもん」を見返す必要も、「わ」と「ね」の違いにビクビクする必要もなくなったわけだ。
しかしユーザーには次なる恐怖が待ち構えていた。
「おきのどくですがぼうけんのしょはきえてしまいまいした」
この表示は、セーブデータが正常に読み込めなかったことを意味する。ユーザーの冒険は綺麗サッパリ削除され、やはりまた最初からやり直さなければならない。
「ふっかつのじゅもん」ならまだ前回のものが残るだろうが、この場合は何も残らないのである。
これはもはやテロと呼んでもいい事態だ。
ファミリーコンピュータはバックアップを考慮していないハードウェアだったため起きた悲劇とも言える。
実際にはディスクシステムという、フロッピーディスクでゲームを供給するシステムが登場し、『ゼルダの伝説』のようにセーブしてプレイを中断するゲームも存在していた。
しかし当初は大容量を売りにしていたディスクシステムも、ROMカセットの大容量化に逆転される形になり、次第に下火になっていった。
スーパーファミコン以降もカセットにバックアップを搭載してセーブを可能にするものが主流だったが、バッテリーを必要としないフラッシュメモリの台頭により電池寿命の問題からは開放される。
そしてPCエンジン、メガドライブの登場により、「ゲーム本体ではないところにセーブデータを保存する」という方法が定着する。