多極化ゆえに、長期化する戦争
次世代ゲーム機の中で1年先行したXbox360は、欧米で急速に普及した。従来PCがメインストリームだったFPS(1人視点のシューティング)などがXboxで発売される地盤が出来ており、唯一のHD対応ゲームマシンとしての地位を築き上げたのである。
日本国内ではXboxが普及しなかったマイナスイメージにより、Xbox360もかなり苦戦している。だが大胆な値下げ、国産RPGの独占投入などでこの先の飛躍も期待される。
PS3 は発売後深刻なタイトル不足に悩まされたものの、Blu-rayDiscDriveの搭載などの差別化もあり、Xbox360の対抗馬として徐々に売り上げを伸ばしている。国内ではあっという間にXbox360の販売台数を抜いたものの、普及台数自体は物足りない。だが、年末から来年にかけてのタイトル充実で更なる普及が期待される。
この2機種の争いを尻目に、圧倒的な力を見せるのがWii。
独創的な操作方法と、任天堂による強力なラインアップは次元の違う売り上げを記録し、サードパーティーによるミリオン突破タイトルも多い。
同じ任天堂ハードであるDSも衰えを知らない。
また、見逃せないのはPSPの急激な追い上げである。
PS3の不調はどこ吹く風、10月16日の新型PSP発売にも期待がかかる。
旧・次世代ゲーム機戦争までの教訓により、「ハードの勝者は一人のみ」というのが常識である。
広く普及すればタイトルが集まり、さらに普及する。
このスパイラルに乗れなかったハードは普及に歯止めがかかり、メーカーが敬遠すればタイトルが集まらず、さらに普及への道は閉ざされる。
しかし、現在の次世代ゲーム機戦争ではどうやら勝手が違う。
WiiとHDゲーム機、携帯ゲーム機の市場は重なり合いながら、住み分けのちょうど良い場所を見出そうとしているように見える。
今はまだ、明らかに据置向けのゲームが携帯で販売されたり、携帯向けの題材が据置で発表されたりと混沌としている印象がある。
今後、HDゲーム機市場がさらに発展し、プラットフォームに合わせた供給がなされれば、これらの市場は共存していくことになるだろう。
そんな中、PS3はどのような道を辿るのだろうか。