メインディッシュより漬け物を食べたい
ニンテンドーDSの売り上げは、今後のゲーム業界を暗示しているかも知れません。 |
最も売れているハードはDSがPS2を抜き、販売数の上位タイトルもかなりの数がDSタイトルで占められています。
それだけでなく、携帯電話用のゲームもかなりの売り上げを広げており、その収益は大手ゲームメーカーも見逃せないほど。
最近では大作タイトルの関連作品や壁紙、着うたなどを携帯電話用サイトで販売することによって、かさむ一方の大作タイトルの開発費を捻出している傾向もあるようです。
家庭用ゲーム機の販売数が伸び悩んでいる現状を考えると、これは大作タイトルのように時間がかかるゲームより、携帯ゲーム機や携帯電話などで短時間で少しずつ遊べるタイトルに嗜好がシフトしつつあるという捉え方もできます。
日経リサーチによると、ネットユーザーの中で利用時間が減ったと答えた人が最も多かったのはゲーム機である、とのこと。
ITmedia News:ネットユーザーの4割「ゲーム機使う時間減った」
一概には言えませんが、この情報の一つの読み取り方として、インターネットなどにより自発的にニュースを入手しようとする能動的なユーザー、情報リテラシーの高いユーザーはゲームに時間を費やさなくなった、ということも言えるのではないでしょうか。
今回はこれらのデータをもとに、「大人のゲーム離れ」について考えてみたいと思います。
クイックレスポンスの時代
携帯電話対応ゲームはすぐに遊べるものからじっくり遊びこむものまで多彩。大事なのは「いつでも遊べて、すぐにやめられる」ということ。 |
インターネットの普及と携帯ゲーム機(それも、主にDS)のヒット。そして近年進んできているゲーム離れ。これを関連付けて考えてみると…。
インターネットはクイックレスポンスの世界です。昨今言われるようになってきたWEB2.0的なサービスを使用したり、無数にある情報を検索エンジンやRSSリーダーなどを駆使して抽出したりする作業は、アクションを起こしてから結果を得るまでのタイムラグがほとんどありません。
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「情報を得たい」「物品を購入したい」「友人とメッセージのやり取りをしたい」と思ってアクションを起こし、その結果を得るまでの時間が極端に縮まったのがインターネット時代の(あるいはWEB2.0時代の)特徴と言えるでしょう。
そこで、従来の「リビングでテレビの前でゲーム機にゲームをセットしてプレイする」というゲーム機の常識が「面倒な手続き」になりつつあるということはないでしょうか?
重厚長大 ←→ 軽薄短小
最近こんな経験はありませんか?▼ゲームは遊びたいが、ゲーム機の電源を入れるのが億劫だ。
▼大作RPGをプレイ途中で放置してしまい、気になっている。
▼ゲーム販売店でパッケージを手にとっても、「どうせ遊ばないし」と思って棚に戻してしまう。
逆にこんなことは?
▼ちょっと手が空いたときに携帯電話のゲームを遊んでしまう。
▼時間のかからないミニゲームを好むようになってきた。
▼ゲーム情報やレビューをネット上で読んだだけでお腹いっぱいになってしまう。
もし上記のことに心当たりがあるようならば、それはゲームにおける「重厚長大」から「軽薄短小」へのパラダイムシフトが起こっている可能性があります。
大事なのは「ゲームに対する興味は多かれ少なかれある」のにもかかわらず「積極的に時間を取らなくなっている」という点。ゲーム自体は好きなので、遊ぶゲームを選んでいるのです。
現在30歳以上の大人たちの多くは、家庭用ゲーム機といえばファミリーコンピュータ、という時代を経験していると思います。
その頃のゲームは、ゲーム自体が容量との戦いだったこともあり、一つのアイディアを生かして繰り返し短時間で遊べるようなものが大多数でした。
その後、ゲーム機の進化を経て、ゲームはより重厚長大の時代に進みます。
その一つの完成型がPS3やXbox360と言えるでしょう。
そこから脱却したのが任天堂のWii、DSと言った「最先端の映像表現に頼らない」ハードなのだと思います。
次世代ゲーム機戦争は、ゲームのあり方の戦争だ
こってりしたお肉料理よりお漬物が食べたい? |
それは、ゲームをやらなくなった大人たちに提示する二つの選択肢でもあるのです。
さらなる映像表現で豪華なフルコースを用意するのか。
多彩な漬物や変わった食材で人の興味を引くのか。
あなたはどちらを選びますか?