散歩/昭和を振り返る散歩ルート

昭和の喫茶店を歩く 神保町~神楽坂散歩(4ページ目)

最近ではめっきり数の少なくなった昔ながらの喫茶店。そんな懐かしい喫茶店めぐりの散歩に出かけてみた。まずは、昔の喫茶店がまだ多く残る神保町をスタート。飯田橋から神楽坂へと歩を進めていった。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

神楽坂で見つけた古い喫茶店

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神楽坂駅からすぐの「フォンテーヌ」。地下の階段を降りるとある小さな喫茶店。
江戸時代の神楽坂はもっと急な坂だったようだ。今でもこの坂をのぼるとその急坂に息が弾む。
いっきに坂をのぼり、大久保通りを越える。
しばらく行くと、右に赤城神社への道がある。入り口がみえてくる喫茶店が「フォンティーヌ」である。間違いなく、昭和時代から営業しているであろう、小さな喫茶店だ。
入り口は、神楽坂通り側にもある。ちょうど神楽坂駅の出口の隣にある。そこから地下に降りていくのだ。老夫婦2人だけでやっている喫茶店である。テレビがあって、お昼の番組をやっている。そういえば、昔はテレビを見に喫茶店に行くということがあったそうだ。それにクーラーの効いた場所であるとか、そうそう、僕が大学生時代にはゲーム機が置かれていた。インベーダーゲームである。あれをやるために喫茶店に通う人も多かった。

最初から甘いアイスコーヒー

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コーヒーを一口飲んだEくんが、うげっと変な声を出す。最初から甘いアイスコーヒーである。
僕が喫茶店に行き始めたのは、昭和50年代のことだ。当時はまだアイスコーヒーは最初から砂糖が入っているのが一般的であった。
いつしか、僕は甘いコーヒーが苦手だ。知らない喫茶店でアイスコーヒーを注文する際は
「砂糖は入っていますか?」
と聞いたものだ。最初のころは5割くらいだったろうか。その割合は徐々に「砂糖は入っていません」というものが多くなり、ここ最近はそういうことも聞かなくなった。たいていは、ガムシロップが別に出てくる。
というわけで、僕はクリームソーダ、Eくんはアイスコーヒーを注文。
ストローでアイスコーヒーをひと飲みしたEくんが変な声をあげた。
「これ、甘いですよ」
と言うのだ。さすが、昭和の喫茶店である。
デフォルトで甘いアイスコーヒーだ。
僕はちょっとうれしくなった。

クリームソーダの思い出

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眺めているだけでも楽しいクリームソーダ。子供のころはよく注文したなぁ。
僕が喫茶店でアルバイトをしていたというのは、大阪でのこと。
大阪では、アイスコーヒーのことを「冷(れい)コー」と言う。
なかには「コールコーヒー」という店もあった。
山口県から大阪に行った僕はこれがよくわからなかった。「冷コー」はなんとなくわかったが、
「コールコーヒー」は「凍るコーヒー」で、凍らせた固形だと思ったものだ。
実際は「Cold coffee」のことであった。
日本語に訳せば「冷コーヒー」ということになる。
東京にきたばかりのとき、冷コーになれた僕は「アイスコーヒー」という字面を見て、
これは、コーヒー味のアイスクリームかと一瞬思った。

ちなみにアルバイトしていた時、いろいろなメニューを略していた。
たとえば、レモンスカッシュは「レスカ」、バナナジュースは「バナジュー」、
クリームソーダは「クリソー」と言っていた。
クリームソーダを飲むと、ふとそんなことを思い出す。
が、ここでEくんに異変が…。
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