夏目漱石の生家と終焉の地を通り過ぎる
「麻の葉弁当」950円でこのボリューム。おいしい和食です。 |
これまで同道してくれていたNくんが、担当をはずれ、きょうは1人かと思ったら、幸運にもいっしょに歩いてくれる方がいた。Wさんという僕と同年代の女性。いまは自分で、出版関係の会社を経営している方である。「あまり歩けないけれど、行けるところまで」とのこと。
西早稲田にはグランド坂というのがある。JR高田馬場駅から歩くと早稲田通りが2つに分かれるところがある。左がグランド坂で新目白通りまでの坂道、右が早稲田通りになる。どちらも下っているのだ。早稲田通りは坂を下ったところに穴八幡という神社があるのだが、その途中にある「麻の葉」というお店で昼食を食べることにする。たぶんWさんが気に入ってくれるだろうとここを選んだ。手ごろな値段でおいしい和食のランチが食べられる。ただし、早めに行かないと、売り切れてしまうのだ。
というわけで、僕たちが入ったのは11半過ぎ。すでにほぼ満席。僕は「麻の葉弁当」950円、そしてWさんは「ロースとビーフ御ぜん」950円。たぶん、ほかなら1000円以上はするであろう内容の食事である。たまに来るのだが、ここは本当にオススメである。
この日は天気もいい。散歩日和である。まずは早稲田通りをまっすぐ。早稲田駅を通り過ぎる。駅の交叉点は「馬場下」という名前だ。この馬場下で早稲田通りと交差するのが夏目坂。ここは夏目漱石の生家があった場所で、漱石が生まれる前からこの名前がついていたそうだ。かなり大きな家で本当に「坊ちゃん」だったのである。
さらに早稲田通りを直進。果物屋さんのある場所で右に細い道がある。ここを入っていくと、早稲田小学校がある。この小学校の校舎も実に古い建築物でじっくり見たいところだが、昨今のご時世、部外者が小学校の敷地に入ることは許されない。壁の外から眺めながら歩く。
さらにまっすぐ行くと「漱石公園」という看板が見えてくる。こじんまりとした公園である。ここが、漱石終焉の地である。さきほどの生家からすぐの場所である。明治40年から亡くなる大正5年までここに住んでいた。「三四郎」「門」「それから」などの代表作をここで書いた。狭い敷地だと思ったが、あとで調べたら、都営住宅1棟とこの公園がかつての漱石の家で千坪あったそうだ。