“ダンパー波だったけど上げに替わって良くなってきたよ” “朝いちホレてて良かったのに、上げきっちゃったら全然割れなくなった” ひと足先に海から上がった人からこんな声を聞いたりしませんか?
また台風が接近している時の天気予報などで“台風の接近と大潮回りが重なり注意が必要です!”なんて聞く事もありますよね。 波の有無やサイズ、質は、天気図だけでなく、潮の満ち引きにも大きく左右されるのです。
今回は、ボディボード初級者向けの潮汐表の読み方講座&そんなの常識!とおっしゃるベテランボーダーの為に、潮にまつわるちょっとしたTipsをお届けします。
満潮・干潮という潮の満ち引きは、月と太陽の引力によって、海面が盛り上がる部分と海水が減り低くなる部分が出来る現象を言います。
月と地球と太陽が一直線に並ぶ日、つまり、満月と新月の日は、両方の引力がもっとも強く地球にかかるため干満の差が大きくなり、この日を大潮と呼びます。 反対に、半月の日は月と太陽が直角になるため引力が分散し、差は小さくなりこの日は小潮と呼ばれます。 大潮の日には海面は1m以上も動き、ウネリが無い時でも潮の干満によって波が立つ事もあります。
さらに毎年春秋のお彼岸の頃の大潮は彼岸潮とも言い、1年のうちでもっとも干満の差が大きくなります。 春の彼岸潮の頃が潮干狩りのシーズンなのはこのためなんですね。 一方秋の彼岸潮は別名初潮とも言われています。 この潮は、漁業者の間では、1年の潮が改まる日といわれており、豊漁を祈るお祭りなどもさかんに行われます。 この時期は昼間よりも夜の潮のほうが高いので波乗りにはちょっと残念な潮回りですが・・。
他にも漁業者の間には“上げ三分下げ三分”という言葉もあります。 これは、1日のうち潮が干潮から満潮へ、または、満潮から干潮へ動くのにかかる時間を10で割り、その三分目くらいがいわゆる潮の動く時間=波が立ちやすい時間帯、という意味なのです。 たとえば、ある日の干潮が朝5時、満潮が昼12時だったとすると、7時間÷10×3=約2時間 となり、朝7時頃がもっとも波が立ちやすい時間帯、という事になります。 計算は少々面倒ですが、これを覚えておくとウネリのない時など助けになりますよ。
さらに一般に、満潮から干潮へむかう時間帯(俗に“下げ”)よりも、干潮から満潮へ向かう時間帯(俗に“上げ”)のほうが、沖のウネリが潮にのって届きやすくなるため波のサイズが上がりやすいと言われています。 もちろん例外もあり、ポイントによっては下げはじめに波が立ちやすかったり、海底がリーフで上げいっぱい(満潮時)でないと波乗りできない、などの特徴を持つ場所もあります。
波のサイズだけでなく、波質にも潮は影響力を及ぼします。 満潮時に、分厚く割れにくい波に手こずっていたのが、下げにかわるにつれて、ホレた乗りやすい波に変わることがあります。 また逆に、ダンパー波ばかりで巻かれっぱなしだったのが、上げにかわるにつれて、整ったショルダーの張った良い波に変わったりもします。
海の正面に住んでいる方はともかく、眠い目をこすって長時間かけて海に通われる方こそ、潮汐表をじっくり見て、潮まわりの良い時間帯をねらって海に入るように気を付けてみてくださいね!
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