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卓球女子代表監督、交代の舞台裏(後) 西村氏が監督続投を辞退した背景(2ページ目)

世界卓球選手権団体戦で女子チームを銅メダルに導き、日本卓球協会の理事会でも満場一致で監督の続投を要請された西村卓二氏は、いったいなぜ続投を辞退することになったのか。その背景を探った。

執筆者:壁谷 卓

西村氏は辞任を決意する前に、木村強化本部長と4回にわたって話し合いをもったという。
その内容は、主として強化の土台となる組織づくりに関すること、柳本監督が求めたようなナショナルチームの活動をサポートする体制をつくることだった。

そのため、西村氏はこの3年間の監督経験から、いくつかの項目を立てて具体的に質問や提案をしていった。
たとえば、そのひとつが、強化本部、ナショナルチーム、選手の母体という三者の意見を調整するポジションとして「総監督を置くのはどうか」という提案だった。

代表選手の選考に批判がつきものなのは仕方ないとしても、その説明などに監督の労力が割かれて現場に集中できない、ときには批判に脅えて力を振るえない、という状況を改めなければ、世界で勝つことは難しいと考えてのことだろう。

だが、木村本部長からは「そういうのは……」という答えが返ってきただけで、「どうして必要だと思うのか?」という議論にはならなかったという。

議論を深めようとしない理事会、強化本部

西村氏は常々「Jリーグの百年構想と同じように、卓球にも百年の計が必要」と言っていた。
誰がナショナルチームのスタッフになっても、存分に力を発揮できる体制を整えることが大事だと考えていた。
だから、西村氏とすれば、「総監督を置く」というのは強化の基盤を厚くするためのひとつの案であって、そうしなければ引き受けないという条件ではなかった。
大事なのは、日本が本気で世界で戦おうとするなら何が必要なのかを議論し、深めてゆくことだった。

だが、卓球ガイドとなって4年弱で僕が見聞きした限りでは、理事会にも強化本部にも、残念ながらその姿勢はあまり感じられない。
「人間関係」や「好き嫌い」が判断基準のファースト・プライオリティ(最優先事項)となっているという印象は拭えない。
というよりも、そのような関係性や立場を維持していくために、物事が決められていくことが多い、といっても決して的外れではない。

「4年間というスパンは長い。このままの状態で引き受けたら、どこかで爆発してしまうだろうと思った」
西村氏のつぶやきに、協会の要職にある方々がどれだけ耳を澄ませるのだろうか。

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