前回、前々回と2回にわたって「フォアハンドの設定のツボ」を紹介した。
その狙いを簡潔にいえば、「パワーボールを打つための形づくり」となる。
紹介したからといって、この2つの設定はそうたやすく身につけられるものでもないが、その一方、早く次の「平岡理論」を知りたいという人も多いだろうとも思う。
そこで今回は、前回までの2つの設定ができたと仮定して、心得ておきたいスイングのツボを紹介したい。
それは「肩を中心にスイングする」というものである。
肩を中心にスイングする
スイングの方法論として、日本に根強くはびこっているのが、「ヒジを支点に振る」というものである。構える。ボールが来る。バックスイングをとる。
ここからボールを打つ際に、ヒジの位置はなるべく動かさず(固定し)、ヒジから先の前腕を動かしてスイングするという方法だ。
「それで日本の選手はパワーをなくしちゃうんです」と平岡監督はきっぱりと言う。
「人間の身体には回る関節が2つあって、ひとつが股関節、もうひとつが肩の関節です。パワーボールを生み出すにはこの回る関節を有効に使うことが必要で、それには肩を中心に振るのが大事になります。日本の前腕を重視したスイングだと、肩の動きを使わないままになってしまうんです」
肩を中心にスイングする──これが「設定後」のスイングのツボということになる。