卓球/卓球関連情報

全日本選手権 女子シングルス 礼と杏、それぞれの壁(後編)(4ページ目)

全日本選手権の女子シングルスの決勝の舞台に立った梅村礼(あや)と小西杏。新時代の到来を鮮やかに印象づけた2人が乗り越えた壁とは──。後編は小西の軌跡を綴る。

執筆者:壁谷 卓

全幅の信頼を寄せる陶コーチの存在が、小西の試合に落ち着きを与えている。小山との準決勝では、第3セットの序盤、小山にイエローカードが出された場面があった。1セット目から見られた光景なのだが、小西がサービスを出そうとすると、ラケットに汗が滴り落ちたとアピールして間を外すのだ。

本当のところはわからないが、外野から見ている限りでは、アン・フェアな行為にも映った。その3度目の行為に対して、審判からイエローカードが出されたのだ。
「ちれさんが焦っているのがわかったので、作戦に惑わされないように心がけていました」
相手の心中を察するゆとりすら備えていた。

勝負のヤマは第4、第5セットだった。セットカウント1-2で迎えた第4セットは、小山に余裕を与えないためにも是が非でも落とせないセットだが、2度のセットポイントを奪われた。この局面でも小西は攻めた。9-10からはスマッシュを決め、10-11からはサービスエースを奪うと、13-11でもぎとった。つづく第5セット、8-10からエッジボールなどの運を味方につけてジュースに持ち込むと、15-13で振り切ったのだ。

第6セットはあっさりと落としたが、最終セットは序盤からラッシュをかけ、5-0とリードを奪った。ここでタイムアウトをとった小山は、小西に打たせる作戦に出た。6-3とじわじわ追い上げられたところで、小西がタイムアウトをとり、直後に小山が痛恨のサービスミス。一時は1点差まで迫られたものの、最後はエッジボールが決まるという「幸運」も味方につけ、初めて小山という壁を乗り越えた。
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