“世界中に力道山を作りたい”

ヒマラヤンタイガーは、異彩な人物評ばかりが先行しているも、内戦中のネパールでプロレス興行を起こした真の国民的英雄なのだ
3月23日(日)ZERO1-MAXが開催する靖国神社奉納プロレスに、ネパールから一人のプロレスラーが来日を果たした。

その男は、ヒマラヤンタイガーと名乗り、ZERO1-MAXを運営するFOS(ファーストオンステージ)がリリースした資料では、“ネパール伝説の英雄”、“鬼神の兵士”、“ネパールの力道山”といった異名が並んだ。

これらはどれも本当の話で、その異名に偽りはないのだが、プロレス的フィルターを通すと、真偽を疑いたくなる“安っぽい触れ込み”に聞こえてしまうのが残念だ。

実際のヒマラヤンタイガーは、内戦真っ只中となる2004年に、ネパールのカトマンズでプロレスを勃興。不安定な情勢の中、数千人から数万人の観客を集めては、国民に娯楽や希望を与え、その興行収益を子供達の学校設立に寄贈している“本物の”英雄なのだ。

“世界中に力道山を作りたい”。

さて、今回実現したヒマラヤンタイガー来日の影には、そんな想いが込められている。現地で彼と接触、日本へのパイプを作ったフリーバーズインターナショナルジャパンの関係者は、「数年前からネパールでプロレスが始まったと伝え聞き、アメリカ帰りのレスラーがネパールでプロレスを立ち上げたというのです。しかも、彼は“ネパールの英雄”だと言われていたので、興味があり会いに行ったのがきっかけです」と教えてくれた。

このフリーバーズインターナショナルジャパンという組織は、世界中に、“その国の力道山”を輩出し、プロレスの普及を目指しているという。つまりその“最初の力道山”と目されたのが、ヒマラヤンタイガーだっという訳だ。

今後、タイガーに求められるのは、ネパールやインド、パキスタン、バングラディッシュといった近隣諸国も含めて、現地でレスラーを育成し日本へと送り込む、あるいは、日本やアメリカから選手を招聘して南アジア地区でツアーを行うといったプロレス文化の形成だという。大役を担ったネパールの英雄は、プロレスとの出会いから、ネパールの現状、祖国の発展とその想いに至るまで丁寧に語ってくれた。