ヒクソンに勝てると豪語。「気功と除霊」を売るカルト武術家
一般に古流武術系の技術は通常の空手や総合格闘技のように、オープンな試合が繰り返され、つねに科学的視点で有効性が検証される“スポーツ”や“競技”としての発想が薄い。したがって、その勝手に妄想的な技術を言い立ててしまえば、誰でも創始者になることが可能なのである。残念ながら “不思議系”のオーラでくるまれた、カリスマ的指導者とその崇拝者による内向きの集団であり、対人コントロールの技術としては空理空論の域を出ない事が多い。忌憚のない言い方をすれば、限りなく「思いこみ」と「オカルト」に近い“脳内”武術なのである。実際、この大東流合気道HPでも、武術としての合気道の他に、“除霊”が高々と謳われており、肩こりやリウマチ、筋萎縮症までが『気功と除霊』で直ると宣言されている。あまりの胡散臭さに、普通の人であれば、相手にしないような話だ。この効能喧伝はどんどんエスカレートして、あげくには“遠隔気功”と称して、受話器を患部に当てれば高血圧や腰痛が治ると主張、よくこれで不法医事行為の取り締まり対象にならないものだと感心してしまう。
また格闘技方面に関しても、この柳龍拳氏は「私はヒクソンにも勝てる」「ノールールの戦いに、200戦無敗」と己の強さを喧伝。テレビ朝日の深夜番組「タモリ倶楽部」に自らビデオを投稿、手を触れずに群れなす弟子たちを次々に吹き飛ばす奇妙な“糸巻き”アクションを公開して話題になった。
実際のところ当時の映像がYoutubeなどにも残されているが、老人が手を振り回すのに合わせて弟子が自ら飛んで受け身を取っているようにしか見えない。そこに“気のパワー”が介在するという、柳氏の主張は、すでに格闘技全体どころか、物理学をも嘲弄している。もちろん、スポーツ的科学的視点からすれば、彼の主張に与する余地は全くない。
地下格闘技の帝王、地上侵攻作戦開始!? (3)に続く