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[BR-USA直送レポ2] 警官選手が血まみれ? 謎のマッチメイクに隠された真相(3ページ目)

「UFC55」で突如セミに起用されたMMA二戦目のルーキーは、MMA取り締まりに強硬姿勢を見せるボストン警察の現役警官だった。奇妙なこのマッチメイクを読み解く。

執筆者:井田 英登

"PRIDE-GP覇者"ショーグンを破った男が、UFC王座取りへ


IFCトーナメントでショーグンを破り、一気にメジャー展開を期待されたババルだが、バッハ・グレイシー移籍もあって若干足踏み状態にあった。ショーグンのPRIDE-GP優勝で一気に存在感が増した
IFCトーナメントでショーグンを破り、一気にメジャー展開を期待されたババルだが、バッハ・グレイシー移籍もあって若干足踏み状態にあった。ショーグンのPRIDE-GP優勝で一気に存在感が増した

第4試合 ライトヘビー級 5分3R
×チェール・シェノン(アメリカ/チーム・クエスト)
○レナート・“ババル”・ソブラル(ブラジル/グレイシー・バッハ)
2R 1'20" タップアウト (チョークスリーパー)


2003年9月のIFCトーナメントでは、マウリシオ・ショーグンからフロントチョークでタップアウトを奪い、決勝ではジェレミ-・ホーンを破って優勝したレナート・“ババル”・ソブラル。ショーグンがPRIDE-GPを制した直後にこの起用を決めたあたり、UFCのPRIDEに対するライバル意識が覗くと言ったらうがちすぎだろうか。

対するチェ-ル・シェノンは、2年前からチーム・クエストで練習しているレスリング出身だが関節技もこなせる選手だ。コアなファン、特にグラップリングの好きなファンにとってはこの日一番期待されていたカードである。
果たしてこの試合は、そんなファンの期待に充分に応える見応えのある寝技の攻防となった。

右のローに合わせて右ストレートでババルはテイクダウンを奪うが、シェノンもすぐに立ち上がり、フェンス際での差しあいの攻防が続く。そこからシェノンは片足タックルにいくが、本来の階級がミドルのシェノンにとってババルはやや思すぎるのか、なかなか倒すことができない。

結局ババルがテイクダウンを奪うが、シェノンもうまくスィ-プし上からパンチとエルボーで攻めるがババルもクリーンヒットを許さない。

ラウンド終了間際にババルのヒール・ロックがシェノンを捕え、あわやタップアウトかという場面もみれたが、これはシェノンが脱出。

2ラウンド、前蹴りの同士打ちで倒れるシェノン。ババルが上になるが、シェノンはここでもスィ-プ。上になりパンチを落すが、ここがババルの狙いめだった。冷静にパンチをよけるとそのまま三角締めでシェノンからタップアウトを奪った。

これでババルはライトヘビー級戦線のトップに浮上したと言える。すんなりタイトル挑戦となるか、その前にTUFの人気スター、フォレスト・グリフィンとの次期挑戦者決定戦となるか。前述のIFCトーナメント本戦にも参戦していたグリフィンだが、その時は準決勝でホーンにKO負けし、ババルとの決勝までは辿り着いていない。あれから2年。成長したグリフィンと、技と経験にますます磨きをかけていたババル。この二人のどちらかが、王者チャック・リデルへの挑戦権を獲得する可能性が高い。



往年の名選手が次々に淘汰されていくのは、勝負事の鉄則
往年の名選手が次々に淘汰されていくのは、勝負事の鉄則

第3試合 ミドル級 5分3R
×デニス・ホールマン(アメリカ/AMCパンクレイション)
○ホルヘ・リベラ(アメリカ/チーム・エリート)
判定0-3


5月14日のMFC 4では、アスレチック・コミッショナーが介入し試合をストップされてしまうほど、ロシアの新星アンサール・チャランゴヴのパワーと打撃に圧倒され、完膚なきまでに叩きのめされてしまったデニス・ホールマン。あれから約四ヶ月。あの試合で、打撃への対応力が明らかに衰えていることを露出してしまったにも関わらず、今回もストライカー相手のマッチメークを、しかも大会三週間前にオファーで受けたホールマン。その試合振りは、ハートの強さはまだまだ健在だが、打撃の防御だけでなく得意の関節技の極めの強さ、そしてスピードまでもが大分錆び付いてきたことを万人の目の前で証明する悲しい結果となった。

開始早々すぐにタックルにいったホールマンはすぐに横四方のポジションを奪ったホールマン。ストライカーのリベラに何もさせずにホールマン、関節技で復活か、と思わせたが、ポジションをリバースされ上からのパンチを貰ってから一気に失速。下からの三角締めも仕掛けるが、冷静なリベラは左手を中に差し込むことでディフェンス。そこから持ち上げてマットに叩き付けるなどのパワーの違いもみせる。

その後は、スタンディングで相手の真正面に立ち顎をあげてしまう悪い癖が出たホールマンは何発もパンチを貰い続けリベラの一方的な試合となる。それでも組み付き膝蹴りなどを出し、まだまだハートは強いという事は証明したが、結局終始打撃で押し続けたリベラの圧勝劇だった。

得意のグラウンドでもキャッチどころか、一度もいいポジションを奪えなかったホールマン。

肩を落しロッカールームに戻るその後ろ姿には、現UFCウエルター級王者マット・ヒューズを二度続けて、しかも30秒以内で葬った時の、あの自信漲るグラップリング・スペシャリストの面影はもうすでにない。


KOTCなどローカル大会を経由して、アメリカで成り上がりを目指す国原。同じくUFCデビューを飾った柔術界の大物ぺ・ジ・パーノにオクタゴン初戦を喪った
KOTCなどローカル大会を経由して、アメリカで成り上がりを目指す国原。同じくUFCデビューを飾った柔術界の大物ぺ・ジ・パーノにオクタゴン初戦を喪った

第2試合 ヘビー級 5分3R
×国原継悟(日本/グレイシー・バッハ・オーランド)
○マーシオ・“ぺ・ジ・パーノ”・クルーズ(ブラジル/グレイシー・バッハ)
2R 1'02" タップアウト (チョークスリーパー)


柔術の強豪マーシオ・“ぺジパーノ”・クルーズのMMAデビューの相手は、ブラジルとオーランド(フロリダ州)とで場所は違うが、同じグレイシー・バッハで練習する日本の国原継悟。つまり国境を越えた同門対決となった。
1ラウンドは距離を一気に詰めてからの差し合い、そしてそこからの投げで国原がぺ-スを握っていたが、2ラウンドに入ると、ぺジパーノにバックを取られスタンディング状態からのチョークスリーパーに堪らずタップアウト。

結果としてはぺジパーノの総合デビューの引立て役となってしまったが、1ラウンドは明らかに押していたし、お世辞にも層が厚いとは言えない今のUFCヘビー戦線でまたチャンスが巡ってくることはあってもいい筈だ、と思わせる国原のオクタゴン・デビュー戦でもあった。

【試合後のコメント】
ぺ・ジ・パーノ:オクタゴンに足を踏み入れたその瞬間、俺は自分のホームにいるような気がしたよ。練習通りの試合内容で勝った。

国原:(チョーク・スリーパーに)捕まってしまっただけです。まだ戻ってきます。



意外な事に、選手負傷によるノーコンテストはUFC初のケース。
意外な事に、選手負傷によるノーコンテストはUFC初のケース。

第1試合 ライトヘビー級 5分3R
-ロン・フェアクロス(アメリカ/フリースタイル・アカデミー)
-アレッシオ・サカラ(イタリア/ブラジル・ドージョー)
ノーコンテスト (フェアクロスの金的攻撃により続行不可能に)


生まれも国籍もイタリアだが、ブラジルに住みアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラのチームで腕を磨くアレッシオ・サカラ。対するロン・フェアクロスはデイヴ・ストラッサー主宰のフリースタイル・ファイティング・アカデミー所属の選手だ。

パンチの技術に絶対の自信を持つサカラはパワフルな左右のストレートで前に出ると、そのままフェアクロスをテイクダウン。グランドでもパンチだけで攻めるが、これはフェアクロスもうまくガード。

そして2ラウンド早々、フェアクロスの放ったローキックがサカラの急所をヒット。そのまま立ち上がれなかったサカラは病院へ直行。12年というUFCの歴史の中でも初めてのノーコンテストとなった。


Text:シュウ・ヒラタ(Boutreview-USA)+井田英登
Photo:Dave Mandel


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