運命が好転するきっかけ、それは「日記」
結局、05年もパッとせず、06年6月、ニューヨークを追われるようにロッキーズへトレードされた。しかし、ここから運命が好転する。その年、32試合で打率.345と活躍し、ロ軍と契約を更新。07年レギュラーシーズンは打率.288、4本塁打、37打点だったが、ポストシーズンに入ってその実力を如何なく発揮し、チームを史上初のワールドシリーズまで導いたのである。松井稼の評価はうなぎ上りとなったが、その成功のきっかけは「日記」だった。メッツからロッキーズへ放出された頃、心の傷を癒すように「日記」を書き始めた。内容は、日々の練習や試合で見つかった課題を書き留めたもので、「常にいくつかの課題に全力で取り組んでいくこと」を自分に課したのだ。
「完璧なんて言葉はないと思っています。失敗しては課題が見つかる。その課題に出合った時、よし、やってやるぞという楽しい気持ちになれます。課題があるというのは、もっとうまくなれるということですからね」