野球賭博
そんな台湾人が集う球場スタンド。広い内野スタンドの片隅で、いかつい風貌をした男がしょっちゅう携帯電話をかけているのを見た。かなりヤクザっぽい。その表情は、野球を見に来ているという娯楽モードではなく、明らかに仕事モードだ。膝の上には、何やら資料らしき紙が載っている。
周囲の席には誰もいない状況だったので、近づいて見るわけにもいかなかったが、どう見てもハンデ師の類か連絡員がどこかと連絡をとっているような状況だった。
もっと素人の若者でも、勝敗の帰趨を巡って普通に札の1枚も賭けている様子も見られるようになった。まあどんな社会でも、勝負には外ウマの賭けはつきものだ。野球興行が盛り上がってきて、娯楽として根付く一断面として、当時は面白おかしく見ていた。
台湾社会におけるギャンブル状況
台湾人、広義に言えば華人は一般的にギャンブル性向が強い。日本も競輪・競馬などの公営ギャンブルやパチンコ等、また各種くじなどの充実しているギャンブル大国なので単純に比較はできないが、台湾人が何にでも賭けの対象を見出すという点では、投機的な事柄について普通に貪欲さを持っていると言うことができる。
そしてその受け皿・はけ口・ガス抜きとなる、公営ギャンブルは日本ほどには発達していない。せいぜいが宝くじや、買い物レシートに添付されるくじなどしか見あたらない。一時期、日本由来のパチンコが全土で盛んになったが、台北市などでは条例で全廃された。パチンコが存続している地方都市もあるが、全体的に見れば減少・縮小傾向にある。
そしてもちろん、民間の賭博行為は非合法である。
それでも、日本の甲子園の野球賭博のように、身内レベルからもっと組織的なレベルまで、いい対象になりそうなものはすぐに賭博のタネになるということだ。