プロ野球/プロ野球 関連コラム

プロ野球の時短は進んでいるか(前編)

プロ野球の長時間ゲーム化対策として、今シーズンから「イニング間隔」と「投手交代時間」の数値目標が導入された。プロ野球のスピードアップを検証する。

執筆者:コモエスタ 坂本


プロ野球の長時間ゲーム化対策として、今シーズンから「イニング間隔」と「投手交代時間」の数値目標が導入された。プロ野球のスピードアップを検証する。

野球ファン離れを防止


2年前、私は『日本プロ野球の長時間ゲーム化の実態を検証する』という記事で、プロ野球の時短の必要性を訴えた。球界再編論議が始まる直前ではあるが、野球というスポーツ・コンテンツのファン離れを防止するためには、時短が絶対に必要な改革だと考えていた。

同記事で、メジャーリーグで成功した試合時間短縮法を取り上げた。「イニング間の攻守交代時間を2分5秒以内」「走者がいない時の投球間隔を12秒以内」というたった2つのルールで、近年のメジャーリーグベースボールは、2時間45分という試合時間目標を達成できたという話だ。日本プロ野球もおおむねこの2つのルールに準じるべきだと述べた。

スピードアップはなぜ必要か?


しかし、「野球を長時間楽しみたい」というコアファンの中には、「だらだら」プロ野球の改善が必要だと思わない人もいるようだ。ここで、試合時間のスピードアップはなぜ必要かを述べておきたい。

まず第一に、スポーツとしてのスピード感の問題だ。野球はただでさえ止まっている時間が多い。その「間」も楽しめるスポーツではあるのだが、度が過ぎるとあまりに締まらないものになってしまう。スポーツファンは明らかに「動き」や「テンポ」を欲しているし、それに欠けると、どんなに競ったゲームでも白けてしまうからだ。

第二に、時間効率の問題だ。時間を持て余している人ならばいざ知らず、多くの人が時間のやりくりに汲々としている現代に、1試合4時間超のゲームは明らかに長すぎる。副次的に、以下のような問題も生じてくるのだ。

長時間試合の問題点


・観客の集中力が続かない

映画や観劇などの娯楽コンテンツの長さは、おおむね2時間程度に設定されている。これは人間の集中力の持続時間に基づいていると言えるだろう。サッカーの1試合はハーフタイム(休憩)含め2時間強だが、これは理想的に思える。野球は細かい休憩を挟むが、それでも4時間などは論外だろう。

・メディアコンテンツとして扱いづらい

上記にも関連するが、テレビ中継などの長時間専有は考えものである。放映権などの問題を含め、現代スポーツはメディアとの共存が欠かせないからだ。

・試合終了時間が遅すぎる

ナイターで長時間試合になると、多くの観客は帰宅が遅くなってしまう。平日に観客の足が遠のくのは当然のこと、球場まで時間のかかる野球ファンの観戦機会を奪うことにもなる。

また、子供を容易に球場へ連れていけなくなる。試合中に観戦していた修学旅行生がいつの間にか帰ってしまっている光景をよく見かける。

これらの問題を踏まえて、私は引き続き「時短」を訴えていきたい。そして、今シーズンの時短の取り組みはどうなっているのか?

【今シーズンの数値目標】→
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