プロ野球キャンプを目前にして、編成を終えた各チーム。もちろん気になるのは、今年の順位だろう。開幕前には野球評論家諸氏が順位予想を出すが、これがかなり外れる。その理由を解説してみよう。
1 野球には偶然性が左右する要素が高い
各球団の戦力は、選手編成や監督コーチ等スタッフの力量でおおむね決まる。しかしプロ野球ともなればシーズン百何十試合を戦っても勝率5割台とかで優勝チームが決まるぐらい差の僅少なスポーツだ。ある中心選手が故障離脱した、新戦力が思ったより活躍した、新監督の采配能力は未知数など、フタを開けてみなければわからない面が多い。いや、それすらも確率論的に考慮に入れるのが予想であるべきなのだが。
2 戦力拮抗時の順位差はほんの僅かな勝差
これも当然の話だが、例えばあるリーグにおいて3強3弱構造が何年か続いており、今年の戦力補強にも大差がない場合、予想の難易度は下がる。ところが6チームダンゴ状態とかだった場合、最終的に1ゲーム2ゲームの差で順位が大きく入れ替わることがある。
3 評論家が開幕前に全球団を見られない
野球評論家はキャンプ地巡りを行う。おおむね各氏は出身チームなど縁故チーム、またそれと同エリアでキャンプを行っているチーム、人気チームなどを訪問する。当然、全チームを視察できる人などはいない。そこで見ているチームと見ていないチームの情報差が生じる。特に、「例年優勝候補」以外のチームが密かに戦力充実していても、なかなか気づかれないことがあるのだ。
4 特定球団に対する感情移入
3とも関連するが、いわゆる野球評論家の多くは、元プロ選手だ。個々人のしがらみや肩入れゆえに、縁故のあるチームを上位につけてしまうことがある。また、例えば巨人などには「戦力豊富」などの思いこみで極端に下位予想をつけることは難しい。2005年の巨人5位を予想として発表した人は、まず少ないだろう。
5 極端な予想によるリスクを取れない
無難と思われる予想をして、意外性のあるチームが優勝したりした場合、それは「番狂わせ」と言って咎められない。しかし、極端な予想の結果大ハズレし、結局本命チームが優勝だったりすることはハイリスクなのだ。予想は外れても目立たない方がいいだろう。
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