アテネ監督は誰がよかったか
ここからはお遊びシミュレーションである。エントリー対象はなるべく監督経験者から選んでみた(NPB現役監督は除外)。五輪野球は、7試合の予選リーグと2試合の決勝トーナメントからなり、前者は負けもありの中期戦、後者は負けが許されない短期戦と捉えられる。両方の特性で強い監督を考えてみたい。評価 | 名前 | 現職 | 実績 | コメント |
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▲ | 星野仙一 | 解説者 | 中日・阪神監督、リーグ優勝3回、シリーズ優勝0回 | 星野の監督特性は、シーズンゲームの長期戦に最も発揮される。選手をシーズン通して起用・育成する点、長期戦へのモチベーションを切らさない点には特筆すべきものがある。選手起用に関しては実は温情派ゆえ、短期決戦時に脆い。またコーチ等の周辺スタッフが充実してこその星野監督なので、今回のアテネに関してはあまり向きではない。 |
▲ | 原辰徳 | 解説者 | 巨人監督、リーグ優勝1回、シリーズ優勝1回 | 私は原の監督能力を指導者としての適性よりも高く評価している。父の監督業ぶり(東海大相模-東海大)を見て育ったゆえんか、攻守ともにソツがない。ドリームチーム監督としては悪くないのだが、今回のコーチ陣を考えると、年長の中畑ヘッドとの軋轢が予想され、座りが悪い。将来的には名将候補と言えるのだが…。 |
△ | 野村克也 | シダックス監督 | 南海・ヤクルト・阪神監督、リーグ優勝5回、シリーズ優勝3回 | 個人的に嫌いな監督だが、野球観は深い。選手に対して好き嫌いが激しく、チームのムードを高められないのが欠点か。せっかくのドリームチームでも、妙な選手起用等で勝ち運を逃す可能性も大いにあるだろう。ゲームの流れを読むこと・キューバ人の特性を知っているという点で、キューバ戦向きではあろう。 |
▲ | 仰木彬 | 解説者 | 近鉄・オリックス監督、リーグ優勝3回、シリーズ優勝1回 | 仰木マジックと言われるその采配だが、私はその全貌をまだ理解していない。と言うか、わからないのだ。できればもう一回監督をやって欲しい。特性としては、長期戦を短期的視野で勝ち抜くことが得意で、選手のその時々の調子の見極めがうまい。かと言って短期決戦に強いかと言えば、そうとも言い切れない。マジックがはまれば面白いのだが、それが確実でないことでリスクが高い。錯乱采配を咎められない、唯一の監督かもしれない。 |
○ | 森晶祇 | ハワイで隠居 | 西武・横浜監督、リーグ優勝8回、シリーズ優勝6回 | スター軍団を率いての堅実采配には定評があるが、晩年の横浜監督時代に弱いチーム向きの監督でないことが証明された。キャッチャー出身という点で野村と同様な傾向があるが、荒くれ・やんちゃ者の集まりだった西武黄金時代、チームを間違いなく勝たせた点ではやはり評価が高い。ドリームチーム向きということで野村に一歩秀でる。 |
× | 権藤博 | 評論家 | 横浜監督、リーグ優勝1回、シリーズ優勝1回 | 投手継投に秀でた監督であり、また打線に関しては何もしないことで有名だ。積極的に何もしないという点で中畑より上だが、やはり権藤も準決勝のオーストラリア戦の完封を防げないタイプだと思える。そもそも今回のアテネ、問題は投手陣より打線にあったので、打線に関して無力な権藤はあまり向きでないと言えるだろう。 |
▲ | 関根潤三 | 解説者 | 横浜・ヤクルト監督、リーグ優勝0回、シリーズ優勝0回 | 6位のチームを5位にする能力は高いが、典型的な温情派である。高齢ということもあり、アテネ監督は厳しいだろう。関根を起用した場合に唯一救われる点は、負けてもさほど責められず、穏当に終わりそうだという点だ。 |
○ | 東尾修 | 解説者 | 西武監督、リーグ優勝2回、シリーズ優勝0回 | 今回のアテネ限定で、個人的にツボにはまったのが東尾だ。監督能力としては平凡な部類に入るが、勝負のアヤは知っている。そもそもあまり有能でないコーチ陣に対して、有能すぎる監督では釣り合いが取れない。東尾は身内意識が強く、ケンカも辞さないのでキューバ戦に向いているような気もする。また、勝負師的にこの人も準決勝のシャットアウトを免れるクチではないかと思う。ドリームチームで殆どは選手が働いてくれるので、東尾的な特性だけ持っている、あまり働かない監督でもよかったのではないか。 |
? | 長嶋一茂 | タレント | ヤクルト・巨人選手 | 長嶋ジャパンをどうしても保ちたければ、息子一茂を監督起用するというのが正しい方策だったろう。少なくとも、中畑の代わりを誰も立てない事態よりはマシだったろうし、ひょっとしたらミラクルがあったかもしれない。どうして代打・一茂を誰も推進しなかったのか。中畑監督というだけで十分茶番だったのだから、一茂監督まで許されたのではないだろうか。 |
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