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悪くない選考。南アW杯メンバー発表へ

5月10日、南アフリカW杯を戦う23人の登録メンバーが発表された。サプライズをもたらしたのは川口能活の選出。日韓W杯の中山雅史や秋田豊のような働きができる選手を探すとなると、川口しかいない―

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

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サプライズは川口能活

フランスW杯
フランスW杯以来、選出され続ける川口能活。サプライズといわれているが、一体感を創出できるのは彼しかいないだろう
南アフリカW杯を戦うチームが、ついに明らかとなった。5月10日に記者会見が行なわれ、23人の登録メンバーが発表されたのである。

サプライズをもたらしたのは川口能活の選出だ。彼の選出が驚きとともに伝えられた最大の理由は、昨年2009年1月のアジアカップ予選(対バーレーン戦)を最後に代表から遠ざかっていたことにある。しかし、過去3度のW杯に出場し、歴代2位の国際Aマッチ出場数を誇る川口の実力は、すでに広く知られている。岡田監督にとっても旧知の選手のひとりだ。1997年2月に代表デビューを果たしたチームで、コーチを務めていたのが岡田監督である。

選出に悩みがあったとすれば、経験豊富な川口を控え選手とすることだろう。レギュラーのGKは楢崎正剛で、第2GKは川島永嗣という序列がすでに出来上がっている。かくも実績豊富な川口が、ほとんど出場のチャンスがない第3GKという役割を果たせるのかが、重要な見極めどころだった。

岡田監督の決断は正しいと思う。川口なら、チームにプラスをもたらすことができる。およそ1か月でW杯3次予選などを6試合消化した08年6月に、彼は控えGKとしてチームの一体感を高める役割を果たした。ある日の練習後、「チームがまとまってきているか?」と聞かれた岡田監督は、「それは当然あるでしょう。チームに対するロイヤリティは大事で、非常にいいチームになってきた」と語り、「ヨシカツなんかにしても、荷物運びを率先してやるなどしてくれている」と、裏方としての川口の働きに言及している。

ズバ抜けた国際経験を誇る彼が「チームのために」という姿勢を見せていけば、控え選手も彼に続く。「実績のあるヨシカツさんがやっているんだから」という雰囲気が生まれる。結果に一喜一憂として、控え選手から不満が生まれるような事態は最小限に押し止められる。チームが分裂したりすることはないはずだ。

昨年9月に脛骨骨折という大ケガを負った川口は、今季のJリーグに一度も出場していない。しかし、すでに実戦的なトレーニングを積んでいる。コンディションに問題はない。1年以上の空白期間はあるものの、代表チームのコンセプトはしっかりと理解している。戦力としても十分に期待できるのだ。そのうえで、02年日韓W杯の中山雅史や秋田豊のような働きができる選手を探すとなると、川口しかいない。
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