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W杯日本代表23人が決定!大久保サプライズ選出のワケ

ブラジルW杯へ挑む日本代表が、ついに発表された。ザックことアルベルト・ザッケローニ監督は、23人のメンバー選考にどのようなメッセージを込めているのか。5大会連続5度目のW杯へ向かう選手の顔ぶれと、そこから見えてくる指揮官の狙いを明らかにしていこう。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

ザックが用意したサプライズは大久保!

■W杯メンバー発表で続く「驚き」
毎回、何かしらのサプライズがあるW杯メンバー発表。今回のサプライズは……。

毎回、何かしらのサプライズがあるW杯メンバー発表。今回のサプライズは……。

W杯のメンバー発表と言えば、何らかのサプライズが用意されているのがこれまでのパターンだった。

初出場となった1998年のフランス大会では、最終的な絞り込みでカズこと三浦知良が外れることになった。4年後の2002年は、中盤の豊富な選択肢から中村俊輔が漏れ、ベテランの中山雅史が選出された。中山と同じく98年大会を知る秋田豊のメンバー入りも、大きな話題を集めた。

2006年大会では、FWの最後の一枠に巻誠一郎が滑り込んだ。それまでジーコ監督が重用してきた久保竜彦でも、鈴木隆行でもない巻の選出は、とっておきのサプライズだった。

4年前の南ア大会でも、当時の岡田武史監督の選考は驚きをもたらした。所属クラブでケガから回復過程にある川口能活を、3人目のGKとして選出したのだ。通算4度目のW杯に控えとして臨んだ川口は、キャプテンとしてチームをまとめあげていった。

■決め手となったのは戦術的多様性
ザックのサプライズは誰だったのか?

大久保嘉人(31歳)である。

川崎フロンターレへ移籍した昨シーズン、大久保はJ1リーグで自身初の得点王に輝いた。今シーズンも開幕から好調をキープし、5月10日のリーグ13節終了現在で8ゴールを叩き出している。得点ランキングで日本人トップの数字だ。

継続的な実績と同時にザックを引きつけたのは、彼のプレースタイルだろう。

大会開幕後は選手の入れ替えができないW杯では、複数の役割をこなせる選手を揃えたい。日本代表が基本布陣とする4-2-3-1で、大久保は「3」の両サイドと1トップでプレーできる。戦術的柔軟性が高いのだ。それに加えて、抜群の決定力を備えている。4年前のW杯で全4試合に先発した経験も、彼の存在価値が輝きを増す理由だ。

大久保のほかにも、J1リーグで実績を残しているストライカーはいる。

ここまでリーク戦首位のサガン鳥栖を牽引する豊田陽平(29歳)や、昨シーズンのJ1で得点ランク2位の川又堅碁(24歳・アルビレレックス新潟)らも、ザックの関心を惹き付けた。だが、戦術的柔軟性と経験を兼ね備えた大久保を、ザックは選んだのだった。

2012年2月以来の代表復帰は、サプライズとして語られていくだろう。それでも、大久保の現況を踏まえれば、決して驚きではない。むしろ妥当な選考と言うべきだ。


中盤にもサプライズが!

■青山が滑り込んだ理由
小さなサプライズとなったのは、MFの枠に滑り込んだ青山敏弘(28歳・サンフレッチェ広島)だ。

攻守のつなぎ役となるボランチと呼ばれるポジションには、チーム結成当初から絶対的存在の遠藤保仁(34歳・ガンバ大阪)と長谷部誠(30歳・ニュルンベルク/ドイツ)がいる。昨年途中から台頭著しい山口蛍(23歳・セレッソ大阪)も、ボール奪取能力を存分にアピールしてきた。

ザックの構想では、ボランチはあとひとりだ。二者択一となったのは青山と細貝萌(27歳・ヘルタベリルン/ドイツ)で、両者の命運を分けたのはプレースタイルだ。

中盤での激しいプレッシャーを持ち味とする細貝は、タイプ的に山口に近い。対して青山は、攻撃のスイッチを入れるタテパスや崩しのパスに特徴がある。所属クラブでセンターバックができることも示してきた細貝だが、ザックは青山を選んだのだった。

■狙いは「日本スタイルの発動」
選考の裏側にあるザックの狙いは、「日本スタイルの発動」である。チームとしてのコンビネーションと個々が持つアジリティを生かし、自分たちで主体的にボールを動かしていくサッカーを実現できるメンバーを揃えた印象だ。

23人のメンバー全員がしっかりとしたコンディションでW杯開幕を迎えれば、スタメンは以下のようになるだろう。

GK 川島永嗣(31歳・スタンダール/ベルギー)

DF
内田篤人(26歳・シャルケ/ドイツ)、吉田麻也(25歳・サウサンプトン/イングランド)、今野泰幸(31歳・ガンバ大阪)、長友佑都(27歳・インテル/イタリア)

MF
遠藤、長谷部、岡崎慎司(28歳・マインツ/ドイツ)、本田圭佑(27歳・ACミラン/イタリア)、香川真司(25歳・マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)

FW
柿谷曜一朗(セレッソ大阪)

内田、吉田、長谷部はケガからの回復過程にあるが、W杯までに3試合のテストマッチが組まれている。ゲーム感覚やゲーム体力を取り戻す猶予は、ギリギリで残されている。

■グループステージ初戦まであと33日
いずれにしても、W杯は総力戦だ。グループステージを突破して上位進出を目ざすとなれば、ケガや出場停止のリスクが高まっていく。誰もが必要不可欠な戦力であり、上位進出には12番目以降のプレーヤーの活躍が不可欠だ。

攻撃陣で言えば、まず名前があがるのは大久保になる。国内屈指のドリブラーとして名を馳せる齋藤学(24歳・横浜F・マリノス)も、試合の流れを変えたいタイミングで出場機会がありそうだ。

また、1月に1860ミュンヘン(ドイツ)へ移籍し、15試合出場で6ゴールをあげた大迫勇也(23歳)も、存在感を求められる場面が出てくるに違いない。

チームは21日からトレーニングキャンプに入り、27日にキプロスとの国内壮行試合に臨む。

コートジボワールとの初戦まで、あと33日である。
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