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阿部移籍で千葉が得るもの、失うもの

阿部勇樹と坂本将貴が移籍する千葉だが、その背景にはしたたかな戦略が隠されている。またそこには、大きな期待と少々の不安が見え隠れするのである。

執筆者:杉浦 義宏

移籍の目玉だった阿部勇樹。ほぼ浦和に移籍確定

主力を放出してもやりくりする千葉。そこにはきちんとした戦略性が見えて取れる
「ミスター・ジェフ」。響きはあまりかっこよくないが、ジェフユナイテッド市原・千葉(以下、千葉)で中心として活躍してきたのは紛れもなく阿部勇樹だろう。阿部は中学1年から千葉の下部組織に入ってから13年間、千葉一筋だった。決して先頭に立ってチームを盛り上げるようなでしゃばりな性格ではないものの、若干21歳でチームのキャプテンに任命された。それから今シーズンまでキャプテンを続けると同時に積極性も見られ、その間にチームもヤマザキナビスコカップを連覇し、彼自身もA代表デビューを飾るなど目覚しい活躍を遂げた。

着実に階段を上り続けて来れば、さらに上を目指したくなるのはごく自然なこと。それだけに長く居続けた環境からステップアップを求める気持ちが阿部にも出てきたのだろう。そんな状況で獲得に名乗りを挙げたのが東京と名古屋、そしてリーグ&天皇杯王者の浦和だった。阿部の本職であるボランチは日本で最も充実しているポジションである。浦和には同じく代表の鈴木啓太が、東京には今野泰幸がそれぞれいる。それでも阿部を欲しがるのは、阿部がボランチ以外にもCBなど複数のポジションをこなし、FKをはじめとするキックの精度の高さもあるからである。

複数クラブの争奪戦となったが、最終的には浦和との契約がほぼ確実といわれている。阿部にとってACL(アジア・チャンピオンズ・リーグ)に参戦できることや、どのポジションにも代表クラスが揃っているハイレベルな戦力が浦和にする決め手なのだろう。
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