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11月16日 キリンチャレンジカップ 日本vs.アンゴラ(2ページ目)

11月16日(水)19:20に国立競技場で行われる日本代表vs.アンゴラ代表戦。その代表メンバーが発表された。ワールドカップまであと7ヶ月、今回も元川悦子さんのレポートでお届けします。

執筆者:小野寺 俊明

阿部、松井らがメンバーに復帰

10月のラトビア・ウクライナ遠征以降、日本代表に関する活動がしばらく休止していた。ジーコ監督はブラジルに戻って休暇を楽しみ、先週日本に戻ってきたようだが(選手の状況を見なくていいのかとはいつも疑問に思うのだが…)、16日のアンゴラ戦(19時20分キックオフ、東京・国立競技場)ではどんなメンバーを選ぶのか。

東欧遠征でいいアピールを見せた松井大輔(ルマン)やJリーグで活躍する阿部勇樹、巻誠一郎(ともに千葉)、今野泰幸(FC東京)らの扱いはどうなるのか。思い起こせば2002年ワールドカップを控えた4年前の11月には、完成したばかりの埼玉スタジアムで、イタリア相手に柳沢敦(メッシーナ)が目の覚めるような強烈シュートを叩き込んでいる。そんなビッグサプライズが今回も起きるのだろうか…。そんなことをあれこれ考えながら、14時から東京・本郷のJFAビルで行われる記者会見に向かった。

今年最後の国際Aマッチということもあるのか、会見場に集まったメディア関係者の数が普段より多い気がした。ほぼ定刻通りにジーコ監督と鈴木国弘通訳、平田竹男日本サッカー協会ジェネラルセクレタリー、田嶋幸三技術委員長の4人が到着。会見が始まった。

ジーコ監督は「さらなるステップアップを図りたい」と切り出した。23人のメンバーに大きな驚きはなし。負傷中の小野伸二(フェイエノールト)、福西崇史(磐田)、10月のウクライナ戦(キエフ)でレッドカードをもらい出場停止となる中田浩二(マルセイユ)以外の主要メンバーを全てリストに加えた。FIFAマッチデーということで、中田英寿(ボルトン)、中村俊輔(セルティック)ら欧州組6人はもちろん、オールスターで東欧遠征に参加しなかった宮本恒靖(G大阪)、中澤佑二(横浜)らも入った。来年は3月1日の2008年アジアカップ1次予選と直前合宿以外、欧州組を召集できるスケジュールがないといわれるだけに、今回は貴重なチーム作りの機会といえる。

宮本、加地亮(FC東京)、遠藤保仁(G大阪)らはケガを抱えており、次のJリーグにも先発出場できるかどうか微妙だが、指揮官はあえてメンバーに入れた。東欧遠征のメンバーでは大久保嘉人(マジョルカ)、箕輪義信(川崎)らが漏れたが、松井は残留。阿部も復帰を果たした。いずれにしてもジーコ監督の「固定した選手で戦いたい」という意識はつねに変わらないようだ。

来年6月のドイツワールドカップでは8分の5の確率でアフリカ勢と対戦する。今回の対戦相手・アンゴラは本大会初出場だが、アフリカ勢特有の身体能力と個人技の高さを兼ね備えている。2001年ワールドユース(アルゼンチン)で日本代表を3-1で破った時のメンバーも順当に成長しているという。そういう相手をいかに守るか。そこからこの試合が始まる。

「守備の課題」に取り組むジーコジャパン

というのも今、日本代表の守備力に疑問が投げかけられている。今夏のコンフェデレーションズカップ(ドイツ)以降、日本代表は非常に失点が多いのだ。9月のホンジュラス戦(9月7日、宮城)での4失点を皮切りに、ラトビア戦(10月8日、リガ)は2失点、ウクライナ戦は1失点ときっちり相手を抑えられていないのだ。

同じワールドカップ出場国のウクライナ戦では相手の長短織り交ぜたパス回しに翻弄され、前線からのプレスがかからず、最終ラインの坪井慶介(浦和)と茂庭照幸(FC東京)のところで跳ね返すので精一杯だった。もちろんダイヤモンド形中盤の4-4-2で挑んだことが一因かもしれないが、「前線からの組織的プレスがかけられない」というのは日本代表の以前からの大きな課題。それは間違いないだろう。

今回のアンゴラ戦メンバー発表会見で、ジーコ監督は自らその問題点を指摘。改善しなければならないという意識を明確にした。「アフリカ勢と対戦する時は、カウンターのスペースを与えたり、1対1で負けるとやりにくくなる。どこから足が出るかも分からない。そういうチームとどう戦うかは今度につながる」と指揮官は気を引き締める。

守備のシステムについては、これまでも宮本を中心に構築されてきた。ジーコ監督は細かい指示をしないため、選手たちの意思疎通が欠かせないのだ。そういう意味でも宮本を強行召集せざるを得なかったのだろうが、今回は彼がプレーできるかどうか分からない。この状況でいかにして「前線からの守備の形」を作っていくのか。これは大きなテーマになるだろう。

これと同時にジーコ監督は、4-4-2システムの熟成、阿部や松井ら切り札になりうる選手たちの起用法模索などをテーマに挙げた。最終予選まではリスクを回避するため3-5-2をベースにしてきた日本代表だが、「私の哲学は4-4-2だ」と話す指揮官はコンフェデ以降、こちらの布陣に切り替えている。ウクライナなどに苦戦を強いられてもシステム変更の考えはないようだ。それならば4枚の最終ラインを維持しながら攻守のバランスを取れるベストな形を見出さなければいけない。それが何なのか。今度のアンゴラ戦で見えてくるかもしれない。

そして阿部や松井ら若手にも期待がかかる。「阿部や遠藤は流れにもよるが絶対に試合に出したい。松井に関しても今まで代表でのチャンスが少なかったし、もう1回見たいと思って呼んだ」とジーコ監督もポジティブに話していた。なかなか積極的な選手交代をしない指揮官だけに、どれくらいの時間が与えられるか分からない。が、彼らが切り札になりうるかどうかはキッチリと見極めてもらいたい。

日本代表は来週14日に集合。14、15日とトレーニングを行って16日のアンゴラ戦にのぞむ。今回も準備期間は短いが、内容・結果ともに最大限の収穫を得られるように持っていってほしい。ワールドカップイヤー前年最後の日本代表戦だけに、我々の想像を絶するようなビッグサプライズを期待したいものだ。

(取材・文/元川悦子)
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