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東アジアサッカー選手権大会 日本代表、初練習の模様(2ページ目)

東アジア選手権に向け、韓国に到着した日本代表の初練習が行われました。練習の模様・選手コメントは現地から元川悦子さんのレポートでどうぞ。

執筆者:小野寺 俊明

31日の北朝鮮戦の先発メンバーは?

トレーニングは予定より15分遅れ、20時15分すぎに始まった。前夜、東京・国立競技場でマンチェスター・ユナイテッドとの親善試合に出場した小笠原満男と本山雅志(ともに鹿島)は韓国入りしているものの、練習には姿を見せず、休養に努めた。その一方で、三浦淳宏(神戸)の負傷離脱によって28日に急遽、召集されたばかりの駒野友一(広島)が合流。他の選手たちとともに体を動かした。

メニューは、最終ラインからのビルドアップとクロス&シュート(ハーフコート)から始まり、セットプレーの攻守の確認、何種類かのシュート練習という流れで、時間にすると1時間程度。ジーコ監督は移動の疲れを考慮し、コンディション調整程度の練習にとどめた。

最初のビルドアップの確認では、GK川口能活(磐田)、DF田中誠(磐田)、宮本恒靖(G大阪)、中澤佑二(横浜)、右サイド・加地亮(FC東京)、左サイド・三都主アレサンドロ(浦和)、ボランチ・福西崇史(磐田)、遠藤保仁(G大阪)、FW玉田圭司(柏)、大黒将志(G大阪)が黄ビブスをつけていた。

ジーコ監督は19日の代表メンバー発表時にスタメン候補を明かしているが、その顔ぶれ通りだった。明日31日の北朝鮮戦には、このメンバーに小笠原が加わった11人がピッチに立つことになるだろう。中でも注目されるのが、公式大会初のスタメンとなる大黒。シュート練習でも早く強く鋭いシュートを次々とゴールに蹴りこんでいた。

今年2月の北朝鮮戦(埼玉)で劇的なロスタイムの決勝点を挙げて以来、印象的な仕事を重ね、着実に出場時間を延ばしてきた彼だが、ここまでは先発のチャンスをなかなかつかめなかった。5月のキリンカップ・UAE戦(東京・国立)では一時的にスタメンとなったが、これはあくまで不在だった高原直泰(ハンブルガーSV)らの穴埋めという要素が強かった。今回も最終予選終盤の立役者・柳沢敦(メッシーナ)や長い間ジーコジャパンの前線をリードしてきた鈴木隆行(鹿島)らがいないが、今の陣容でいえば大黒がエース級の位置づけであることは間違いない。

彼も「今回は必ずゴールチャンスは来る。そこできっちり決められるようにしなければいけない、冷静に試合に入れるように集中しつつ、一方でリラックスしていきたい」とコメント。今年3度目でゲンのいい相手・北朝鮮戦に合わせている。「北朝鮮キラー」の異名を取る男だけに、3度目の正直となるゴールを期待したい。

6月のコンフェデレーションズカップ(ドイツ)を棒に振った中澤もコンディションのよさを示していた。セットプレーの攻撃練習では右CKを遠藤、左CKを三都主が蹴っていたが、やはり188cmの中澤がいるだけで得点力がアップする。今回は中村俊輔(レッジーナ)ら攻撃の切り札になる選手が少ないだけに、セットプレーは重要な得点源。中澤と福西の高さがあれば、アジアでは制空権を支配できるはず。彼らにはもちろん守備面でも頑張ってもらわなければいけないが、ゴールという仕事にも積極果敢にトライしてほしい。

新加入組の田中達也(浦和)、巻誠一郎(千葉)らも懸命にアピールしようという積極性が垣間見えた。今回はFW陣が手薄なだけに、状況によっては2人がピッチに立つことも十分に考えられる。この日の田中達也は背後からボールを受ける形のシュートは決定率が悪かったが、マイナスのボールを受けてのシュートはよく入っていた。巻も過去に年代別代表経験がない選手とは思えないほど堂々と落ち着いてプレーしていた。ジーコ監督は際立った仕事さえ見せれば、代表に残して育てようとする傾向が強い指揮官だ。今大会での活躍次第で、彼らには2006年ドイツワールドカップ行きの切符がかすかに見えてくるかもしれない。

彼らに比べると、今野泰幸(FC東京)や阿部勇樹(千葉)、駒野はやや不利かもしれない。特に今野と阿部はチームの中核をなすボランチのポジション。ジーコジャパンには確固たる戦術がないため、中盤の選手にはゲームを組み立て、コントロールするという大仕事が課せられる。それを新加入のメンバーが担うとなると、やはり負担に大きい。「この練習だと戦術を把握することができないのでちょっと難しい」と今野は不安そうに言っていた。それでもチャンスが与えられれば、思い切って日ごろクラブでプレーしているようなパフォーマンスを披露してほしいものだ。

優勝を義務づけられた東アジア選手権開幕まであと1日。大田も東京と同様に気温も湿度も高く、かなり蒸し暑い。7月にJリーグ6試合を消化した選手たちにはかなり厳しい環境といえる。しかも今回は直前合宿にメンバーが揃わず、チーム完成度を高めるような練習がほとんどできなかった。「といっても試合で戦う選手はいつもとほとんど変わらない」と宮本は冷静だ。その落ち着きを持ち続け、アジアチャンピオンの誇りと意地を見せ付けてもらいたい。

(取材・文/元川悦子)

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