後半、中田浩二や本山を起用。4バックのテストも
前半終了間際の先制点で試合の流れは日本に傾いた。逆に後半に入るや否や、シリアはここまでの善戦が嘘のようにペースダウン。しばしばゴール前に顔を出していたサイドやラフェの運動量もガクッと落ちた。さらに悪いことに11分、左ボランチのジュベイリが2枚目の警告で退場。10人での戦いを強いられた。数的にも精神的にも優位に立った日本は一段と勢いを増した。この日は左サイドからの攻撃が際立ち、三都主の精度の高いクロスが次々と中央へ送られた。「前回の試合で躊躇したところがあったから、今日は思い切っていった」と本人も言う。2点目も彼のキックが起点となった。後半24分、三都主のFKがいったんクリアされ、右サイドへ。ここにいた遠藤がいいタイミングでクロスを挙げた。「ヤットがボールを持ったからいいボールが来ると思った」という宮本がドンピシャリのタイミングで合わせ、ゴールネットを揺らした。この日が復帰戦となった宮本は負傷の影響をまったく感じさせなかった。
ジーコ監督はその後、マルセイユ移籍が決まった中田浩二、攻撃の切り札・本山雅志をピッチに送り出し、4バックのテストも行った。中田浩はコンディションが今ひとつだったが、アグレッシブな姿勢を前面に押し出した。本山にしてもシュートへの積極性を披露。北朝鮮戦への生き残りを懸命にアピールした。
そんな中、試合終了間際に3点目が生まれる。三都主からのパスを鈴木がスルー。ここに飛び込んだ小笠原が左足できっちりとシュートを流し込んだ。「ここまで国内組でやってきた手ごたえはある。次の試合も出たい」と、彼も北朝鮮戦への特別な意欲をプレーで表現した。国内組の高いモチベーションを目の当たりにした指揮官は「みんながいいパフォーマンスを見せているのはうれしい悩み。今のスタメンを次の試合にぶつけたい気持ちもある」と前向きに語った。
カザフスタンやシリアくらいのレベルなら国内組だけでも十分戦える。2試合を通じてその事実はハッキリした。騒がれてはいるものの、北朝鮮も実力もそう高くはないようだ。それだけにコンディションのいい国内組をぶつけるというのも1つの手だろう。が、最終予選はやはり特別な舞台。プレッシャーの大きさはこの試合の比ではない。
もう1つ言うなら、今のメンバーでは「ボールを落ち着かせられる確固たる柱」がいない。中村や小野がいるだけで日本のリズムは大きく変わるのだ。そういう面を考えると、海外組の存在は無視できない。個々のヒエラルキーを重んじるジーコ監督はおそらく欧州組重視の姿勢を崩さないだろう。北朝鮮戦メンバー23人は明日明らかになるが、指揮官にはここまでのいい流れを崩さないような方向性を示してほしい。
●試合後のジーコ監督コメントはこちら
●試合後の選手コメントはこちら