8月18日(水)19:00に静岡スタジアム・エコパで行われる日本vs.アルゼンチン戦の前日コメントをお届けします。取材は元川悦子さん。9月8日にはワールドカップアジア1次予選のインド戦@カルカッタ。選手コメントを聞くと選手の疲労が心配されます。
●8月18日(水)日本vs.アルゼンチン戦 日本代表メンバー発表
●9月以降のワールドカップ1次予選日程
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主力不在のアルゼンチン相手に
アジアカップ王者の意地を見せたい日本
2002年秋のジーコジャパン発足以来、2度戦って2度完敗を喫しているアルゼンチン。今回はベロン(インテル)もアイマール(バレンシア)もいない。ビエルサ監督自身もアテネ五輪で指揮を執っており、サビオラ(バルセロナ)やテベス(ボカ・ジュニアーズ)もタイトルを狙って奮闘中である。まさに主力不在のチームだが、アルゼンチンはどんな時も強い。アジアカップ2連覇を果たした日本は、その意地とプライドにかけても、3度目の勝負は負けられない。今の日本代表の真価が問われるゲームがいよいよ始まる。キリンチャレンジカップ2004、日本代表対アルゼンチン代表のゲームが18日、19時から静岡スタジアム(エコパ)で行われる。先のアジアカップ(中国)優勝の原動力となった中村俊輔(レッジーナ)、川口能活(ノアシャラン)不在の中、国内組だけで強豪に挑む日本。彼らは前日の夕方、約2時間の公式トレーニングを消化した。
季節外れの大雨に見舞われたこの日の静岡。気温も27~28度までしか上がらず、選手たちには動きやすいコンディションとなった。中村の代役としてスタメン出場する小笠原満男(鹿島)、川口に代わって久しぶりにゴールマウスを守る楢崎正剛(名古屋)の2人も、疲れを感じさせないフレッシュさを見せた。
練習は普段通りウォーミングアップからスタート。じっくりと体を動かした後、2組に分かれた。まずサブ組が「仮想・アルゼンチン」となって3-5-2の形に並び、ボール回しを開始。この相手に対し、レギュラー組は高い位置からプレスに行くなど、マーキングを徹底させた。ジーコジャパンの試合前日練習で、このように守備戦術を確認するのは非常に珍しい。アジアカップでもこうしたディテールの確認はほとんど行われなかった。ジーコ監督と選手たちにとってアルゼンチンは、それほど「強大な敵」なのだ。
特に選手たちが話し合っていたのは、アウトサイドを使って大きく展開された時の対応だ。どちらかのサイドにボールが入った時、ボランチがカバーに行き、空いたスペースを小笠原が埋めるなど、具体的な約束事が確認された。アジアカップでも三都主アレサンドロ(浦和)の裏は徹底的に狙われた。アルゼンチンはいったん外で起点を作った後、背後にいる選手が飛び出してきて2対1の状況を作るのがうまい。サイドチェンジも頻繁に使ってくるから、それに振られたら中央に大きなスペースを作ってしまう。昨年、1-4で大敗した試合は、まさにそういう崩され方をした。だからこそ、今回は同じことをやられてはいけない。
選手たちも要注意ポイントを心得ている。宮本恒靖(G大阪)、福西崇史(磐田)、中田浩二(鹿島)らがピッチ上で議論を交わすなど、「自分で物事を解決する姿勢」も披露した。そういう自主性を持ち続けられれば、強豪相手でも大きくは崩れないだろう。
守備戦術の徹底に続き、選手たちはボールを奪ってからの速い攻撃とセットプレーを確認した。今の日本にとって、セットプレーは極めて重要な得点パターン。だが、今回は高いキックの精度を誇る中村が不在で、三都主や小笠原がキッカーを務めることになる。小笠原は「俊さん(中村)はGKの正面を狙って蹴っているみたいだけど、自分はサイドネットを狙って、中の選手がクロスして入ってくるイメージで蹴りたい」と秘策の一端を披露。ファウルを誘うために、ペナルティエリアの近くで積極的に攻撃をしかけていく考えも語った。キッカーが替わっても、セットプレーの威力が落ちないことを実証できれば、今後のワールドカップ予選にも弾みがつく。今日は小笠原と三都主のキックに注目したいところ。
彼らの練習はこの後、ミニゲーム、FK練習などを経て終了。続いてアルゼンチン代表がピッチに現れた。今回のアルゼンチンは、来日予定だったベロン(インテル)、アイマール(バレンシア)らが合流せず、有名どころはリケルメ(ビジャレアル)、サムエル(レアル・マドリッド)くらい。ビエルサ監督もアテネ五輪代表を率いており、ビバス・ヘッドコーチが監督代行を務めることになる。それでも「ほとんどが代表経験を持った選手。みんな今後のワールドカップ予選に出たいと高いモチベーションを持っている。我々はただ試合をするために来たのではなく、勝ちに来た」とビバス監督代行はキッパリ。単なる親善試合でも手を緩めそうにない。
予想スタメンは、GKフランコ(アトレチコ)、DFサムエル(中)、キロガ(ヴォルフスブルク=右)、G・ミリト(サラゴサ=左)、右サイド・ロドリゲス(ビジャレアル)、左サイド・プラセンテ(レバークーゼン)、ボランチ・ベルナルディ(モナコ)、2列目・ガレッティ(サラゴサ)、リケルメ、FWにD・ミリト(ジェノア)、サンタナ(パレルモ)といったメンバーが有力視されている。
いずれにせよ、楢崎が「アルゼンチンはどんなメンバーでもうまくて、汚くて、激しい」と言うように、世界の強豪チームであることに変わりはない。1-4で惨敗した昨年6月の大阪でのゲームから1年2ヶ月。ジーコジャパンは大きな変貌を遂げた。今日の試合は、彼らのレベルアップ度合いとチーム完成度が試される。アジアカップ王者の真価を問われるゲームになりそうだ。
(取材・文/元川悦子)
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