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ホームの日本はいいリズムで試合をスタートさせた。2列目の藤田が相手守備陣の裏に飛び出し、つぶれ役になったことで、こぼれたセカンドボールを柳沢が拾ってシュートに行くなど、今までにはなかった攻撃パターンが最初から出てきた。
そして迎えた12分、いきなりのビッグチャンスが到来する。中田のワンツーからペナルティエリア内でボールを受けた柳沢がゴール正面の位置にいた高原にパス。高原はフリーだったが、信じられないことにGK真正面にシュートしてしまった。はね返ったボールは後ろから詰めた小野が拾ったが、彼はダイレクトでシュートを打つべき場面でボールを止めてしまい、相手DFにさらわれた。願ってもない決定機を逃した選手たちに、スタジアム中からため息が漏れた。
その後も藤田と柳沢が積極的に裏へ抜ける動きを見せ、中田や小野からいいパスが出るなど、攻撃の形は次第にできつつあった。特に小野はここ最近の国際Aではマッチでは屈指の好パフォーマンスを披露。広い視野とハイレベルな技術から繰り出される50~60mのパスは、相手に脅威を与えた。
けれどもカメルーンも黙っていない。右サイドのジェレミ、左サイドのアトゥバ(バーゼル)が果敢にオーバーラップし、クロスを中へ入れる。これに呼応して、エムボマが強引にゴールを狙いにいった。前半32分に見せたシュートの強烈さには、大観衆を驚かせるばかりだった。
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