後半36分、“スライダー”FKを決めた!
中村はこれでCL通算2得点。決勝トーナメントでもその左足で魅せてくれるだろうか。 |
セルティックは先節、ベンフィカに0-3と敗戦を喫していた。マンUに勝てば決勝トーナメント進出が近づくが、負けると敗退が濃厚になってくる……。このグループリーグホーム最終戦は絶対に負けられない状況にあった。
一方対戦するマンUは、引き分け以上なら予選リーグ突破が決まる。今週末には、プレミアリーグでチェルシーとの天王山が待っているだけにできるだけ楽な展開に持ち込みたいところであった。
セルティックは中村をいつもとは違う左サイドで起用。だが、前半は終始マンUペースで試合が運び、セルティックはかろうじて前半を0-0で終わらせることに成功した。
スタンドからの「You will never walk alone」の大合唱に包まれたハーフタイム終了後、後半、ストラカン監督は選手2人を入れ替え、中村をもともとの右サイドのシステムに戻す。作戦が功を奏したのか、セルティックは徐々に攻撃に勢いを見せ始める。
しかし、相手は現在プレミア首位を走るマンU。なかなか得点のチャンスが作れず、中村が放ったシュートもゴールに収まることはなかった。反対に、マンUの攻撃陣がセルティックゴールに攻め込む時間も多かったが、DF陣が死守をした。
そして、後半の36分、ついにセルティックに千載一遇のチャンスがやってくる。マンUのDFヴィディッチがセルティックのMFヤロシクに犯したファウルでFKを獲得した。
FKを蹴るのはもちろん中村。ゴール前約30mやや右の位置から放った、得意とする速くて落ちる“スライダー”FKは壁の上を越え、GKのファン・デル・サールも及ばすゴール右上隅を突き刺さった。
後半43分にはMFグラヴェセンがマンUにPKを与えてしまう。しかし、FWサハのボールをセルティックGKボルツが見事に止めて万事休す。
同時刻に行われていたグループFのベンフィカ-コペンハーゲン戦の試合結果(3-0:当該対決の成績によりセルティックの予選リーグ2位以上が確定)を受けて、セルティックはマンUからの劇的な勝利とともに、CL決勝トーナメントの挑戦権も獲得した。
セルティックは1967年、「英国」史上初めてヨーロピアン・カップを制したクラブだが、CLになってからは初のベスト16入りを果たした。そして、中村俊輔は日本人として初めてCLの決勝トーナメントの舞台を踏む。
CLの決勝トーナメントは2月20日、21日に1回戦が行われる。中村俊輔とセルティックのヨーロッパ王者を目指す戦いはこれからが本番を迎える。
現地メディアも“ナカ”を絶賛!
■セルティック公式サイト「中村俊輔のワンダーゴールとボルツの劇的なPKにより、マンチェスター・ユナイテッドへの勝利を刻み、セルティックは初めてチャンピオンズ・リーグの決勝トーナメントに進出する」
■マンチェスター・ユナイテッド公式サイト
「中村のスタンガンがマンUを沈めた」
■TEAMtalk Football.com
「ナカ・マジックがマンUをぶちのめした。中村のヒロイックなFKがサハのPKに焦りを生じさせ、その結果、PKを止められてしまうことになった」
■AFP
「中村がセルティックのCLでの歴史的勝利に火を付けた。中村俊輔のセンセーショナルなFKがマンUに残酷な勝利を奪い、CLに歴史を作った。この日本代表(原文ママ)の完璧なプレースキックは、このスコットランド王者の9分後の勝利とグループリーグ突破を確実にするものとなった。
中村は、オールド・トラフォードでの第1戦のときと同じような位置にボールを置き、踏み込んで、そして完璧な左足でのシュートは弧を描いて壁を超え、最後にゴールネットの上隅に突き刺さった」
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