2002年アフリカネイションズカップ「マリ」大会。準決勝マリ対カメルーン戦直前に、カメルーンGKコーチのヌノコ氏が突然警官たちに取り押さえられたシーンを見た人も多いのではないだろうか。ヌノコ氏の逮捕理由は「今大会、使用が『正式』に禁じられていた呪術を使用した疑い」。警官がピッチに入る場面はショッキングだったが、「黒魔術」なんていうトンデモナイモノの登場には…。(詳細記事は報知新聞で。)
21世紀になっても、黒魔術の脅威は存在するのだ…。
「アフリカンサッカーと黒魔術」
「1969年、キンシャサ(ザイール)。5月20日スタジアムのピッチ整備をしていた係員が、センターサークルに埋められていた頭蓋骨を発見。ここのホームチームであり、ホームでは負けなしだった「Mazembe」を陥れるために、ライバルクラブたちが黒魔術を使ったに違いない、という噂が広まったが、真実はいまだ解明されていない。」(2001年8・9月号 AFRICAN SOCCERより)
さすがに「頭蓋骨」ともなるとかなり無気味だが、鶏や羊の血・マジックパウダーなどの呪術具(「muti」「juju」「grigri」などと呼ばれる)を使っての黒魔術は、アフリカのサッカー界では日常的に行われてきた。
果たして「行われてきた」と過去形にしてしまってよいのかは分からない。先日のアフリカネイションズカップの事件はもちろん、1992年、セネガルで行われたアフリカネイションズカップでアルジェリア・ザンビア・カメルーン・ガーナを破ったコート・ジボワールは「政府が雇った黒魔術師のおかげだ」といまだに噂されているし、1998年のW杯でスペイン・ブルガリアに勝利しグループリーグを突破したナイジェリアの応援席には体全身に色を塗り、「頭に壺を乗せた」呪術師も観戦していたらしい。
しかし「練習もせずに呪術師にたよってばかりいて、代表が弱体化した」、「ハーフタイムに呪術師のお祈りを聞かされて、戦術を話し合う時間がなかった」などと、アフリカ大陸に増えてきた外国人監督側が不服を唱え出したこと、さらには「エイズ問題が深刻化している現代、血液を使うのはいかがなものか」と各国政府も本格的に黒魔術禁止に乗り出し始め、ようやく最近になって「黒魔術」も下火になってきたようだ。