望遠にするほどレンズの明るさは暗くなる
この「A18」、ズームの倍率については文句なく素晴らしいのですが、これだけコンパクトにしている分、レンズのF値はどうしても暗くなってしまいます。「F値が暗い」という意味が理解できない方のために簡単に解説しておきましょう。レンズには明るさの基準があってそれをF2.8などと数字で表します。写真の露出に関係してくるのですが、この数字が小さい値がついているレンズほど明るいレンズということができます。レンズが明るければその分、光量をたくさん取り入れることができる絞りの値になるということです。そうなると速いシャッタースピードで撮影することができます。日中などではあまりシャッタースピードは気にしなくていいのですが、暗い場所など光が少なくなってくるとレンズの明るさはとても重要になってきます。少ない光量でも手ブレせずに撮影が可能になるからです。
また焦点の合ってない部分でできる「ボケ」もレンズの値が明るいほどボケを生かすことが可能になります。
このあたりについての説明は短い説明では書ききれないので、この先は、『露出なんて簡単カンタン!?』と『露出はこれでマスター!』の記事を参考にしてみてください。
さて、この「A18」にはこのレンズの明るさを示す値について、F/3.5-6.3と表記されています。これはどのような意味なのかをご説明しましょう。ズームレンズの絞りには二つあってひとつは、固定のF値を持つもの、もうひとつはズームの比率に応じてF値も変化していくものがあります。「F2.8」などとひとつの値しか書いてなければ、そのズームレンズはどこにズームしてもその値で撮影ができます。ただ、このタイプのレンズはレンズ口径が大きく重さも増し、レンズの値段も高いという特徴があります。
もう一方は、ズームを望遠するに従い、F値も変化していくというズームレンズ。望遠側にするに従い暗いF値になっていくというデメリットはありますが、その代わりサイズや重量をある程度コンパクトにでき、値段も手ごろなものが多いというメリットがあります。
「A18」は、F/3.5-6.3と表記されていますから、後者のレンズということになります。どれくらいのズームでF値が変化するかというと、「A18」を瀬川が試用したところでは、35ミリ判換算のサイズで約52ミリでF4.5、約127ミリでF5.6、約165ミリでF6と変化するようです。
ボケは望遠側では少なめ
どうしてもF値は望遠側では暗くなるレンズですので、花などを望遠で寄せて撮ったときのボケの効果は薄くなります。約138ミリ、F5.6で撮影。この距離のズームではF5.6まで開放値(最大F値) が変わり、後ろに写っている椿の花もある程度、輪郭がわかる程度に写りこみます。 |
ボケの効果を使わない撮影ではあまり気にすることはありませんが、前後のものをボカして撮影することが多いのであれば、この点を覚えておき上手に画角を使い分けるようにするといいでしょう。
シャープさはまずまず
レンズの描写のシャープネスは、まずまずの感じです。このサイトではこれ以上大きい画像ではお見せできないのですが、小石のひとつひとつもきれいに写っていて、シャープさのある描写ができるレンズといえます。小石を広く写し、シャープネスの度合いを見てみました。この画像からでもきめが細かく写りこんでいるのがわかります。 |
F値を絞り込むことで画像の切れも向上しているように感じます。
望遠にするにしたがってF値が暗くなるレンズなので、絞り込んだときにシャッタースピードは遅くなりがちです。そんなときは三脚を使ってじっくり撮るのにはいいレンズ。望遠側で撮るときにも、手ブレが起こりやすいですから、日ごろから三脚を使うことでよりシャープな画像を撮影できます。
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