寒い時期にベストシーズンに入る釣り
冬の澄んだ空があかね色に染まる。気温は下がるが釣りへの期待感は高まる一方だ |
急いで車を走らせ、いつもの港へ向かう。渋滞を切り抜け、現地に着いたのは午後8時を回った頃だ。潮位は下げ止まりから上りだすタイミング。防寒着を着込み、ロッドと小さなバッグを背負い、ポイントへ歩き出す。潮位が上がり出すまでまだ少し時間がありそうだ。
極細のラインをガイドに通しながら、今日の釣りをイメージする。ラインの先に極小のジグヘッドを結び、グローカラーの1.5インチワームをセットする。すぐに取り出せるように、マイクロプラグや極小メタルジグをケースに並べてバッグへしまい込んでおく。
海面を見ると、潮が動き出している。そろそろ、潮位が変動しはじめる頃だ。テトラ際に向かい、そっとルアーを落とし込んでみる。しばらく漂わせていると、小気味よい衝撃が手元に伝わる。軽く手首を返すと、激しい生命感がロッドを通して体へと流れ込んでくる。観念した相手を海面から引き離し、手に取ってみる。手の平からようやくはみ出るほどの大きさだが、狙い通りの魚「メバル」だ。
メバルは別名「春告魚」と呼ばれるように、冬から翌年の春までが旬の魚だ。毎年冬になると春の産仔(メバルの仲間は卵胎生)に備えて接岸を開始する。誰もが釣りを諦める寒さが厳しいシーズンこそ、彼らの独壇場になるというわけだ。
メバルは好敵手
小気味よい抵抗をみせる「メバル」。真冬を代表するターゲットだ |
一般の釣りでは、エビやイソメ類、成長したメバルを狙う場合は生きたイワシを餌にする場合もある。こうした食性からも分かるように、メバルはルアーへの反応がすこぶる良い魚でもあるのだ。また、メバルは大群を作ることから、一回釣れ始めると入れ食いになることもしばしばある。次々とヒットするメバルは、暖房の効いた室内でテレビを見ているより、体をホットにしてくれる。
近年では専用タックルやルアーも各社から販売されており、売れ行きも順調。冬になり、めぼしいターゲットが居なくなる時期にベストシーズンに入る「メバルゲーム」は、アングラーたちのライフワークのひとつとなっている。
釣り方の基本としては「スリリングな海釣りライトゲームに挑戦!」でも紹介しているが、今回は真冬でも十分楽しめる「メバル」にターゲットを絞って改めて解説してゆきたいと思う。